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  • The Last Remnant PC Steam版

    Square Enix

    まあまあ(10点)
    2021年9月13日
    ひっちぃ

    人々が「レムナント」と呼ばれる大小さまざまな精霊のようなものを身近に利用して生活している空想ファンタジー世界で、研究者の両親を持つラッシュ少年は謎の存在にさらわれた妹を捜しているうちに戦場に迷い込み、小国アスラム侯国の領主ダヴィッドと出会い協力を求める。コンピュータRPG。

    パソコンの主にゲームで独占的なシェアを握るフラットフォームSteamのセールを見ていたら、この作品が1,080円で売られていたので衝動買いしたのが2014年11月のことだった。いまは販売停止されているけれどおそらくスマホやPS4やSwitchでリメイク版が出たからだと思う。長らく放置していたけれどようやくやる気になったのでプレイしてみた。まあまあ面白かった。

    多分スクウェア・エニックスの黄金期を過ぎたあとに出た大作ソフトだったと思う。発売当時コマーシャルまで打っていたのを見た覚えがあるけれど、あまり評判にならなかったんじゃないだろうか。というのもこの作品、日本ではマイナーだったXbox 360で出たから。

    その後わりとすぐにPC版が出たとき、Xbox 360版ではすごく重くて遊びにくかったけどPC版で改善されて結構遊べるようになったという声を聞いたのだけど、いかんせん当時のPCゲームソフトは高く、フルプライスで買ってまでやる気にはなれなかった。Steamのおかげでだいぶ買いやすくなった。

    これ実質的にサガシリーズだと思う。スタッフの多くがサガシリーズに関わっているし、なにより作品設定の中で名称の一部にサガシリーズのものが使われている。おそらく日本でXboxを売りたかったマイクロソフトがサガシリーズとして開発中だった本作に資金を出して新たなIPとして立ち上げたんだと思う。長い目で見たら失敗だったんじゃないだろうか。

    たとえば全体マップがあって町やダンジョンやフィールドのアイコンが配置されており、選択すると中に入れる。その中で移動して新たな場所に到達すると、その場所が全体マップに表示されていつでもそこへ入れるようになる。

    技をひらめく。サガシリーズと違って運ではなく一定の行動を続けることで特定の条件を満たすとひらめくらしい。おなじみの「巻き打ち」はさすがになかったけれど、割とそれっぽい技がある。なお、技ではなくてアーツと呼んでいる。

    大きく異なる点として、最大で18人によるパーティを組める。ただし5人までのユニオンを5つまで組むことになる。いちいちメンバーに命令を出すことはできず、ユニオン単位でおおまかな指示をすることしか出来ない。

    各メンバーの装備をいじることもできない。なんとこのゲームではメンバーそれぞれが自分の意志で勝手に装備を整えていく。装備を作るのに必要な材料は各自持っている所持金を使って店で買ったり、敵を倒して得たものが分配されることで手に入れたりしていく。時々この材料が欲しいから取りにいこうぜと話しかけてくる。材料が揃うと装備のランクが上がって強くなる。

    ただ、戦闘スタイルを指示することはできる。武器を片手持ちするか両手持ちするか、特定のアーツ(技や術)を使わないようにするか、新しいことを覚えるかどうか、ファイティングアーツ(技)主体にするかミスティックアーツ(術)主体にするか、みたいな。あと、18人からあぶれるメンバーが出てくるのでどのメンバーをレギュラーにするかも決めることになる。

    こういうのもなんだけど、ファイナルファンタジー11にちょっと似ていると思う。アライアンスを組むとちょうど18人になるところといい、オンライン上の仲間が自分の装備を整えるためにクエストやレアモンスターの討伐を互いに協力しあうところといい。あとこの世界には4つの種族があり、大きい爬虫類ヤーマはガルカに、小さい爬虫類クシティはタルタルに、4本腕の獣人ソバニはエルヴァーンに対応してそう。

    工房で武器や盾やアクセサリーを強化したり一から作ったりできる。自分はほとんど利用しなかった。というのもお金や材料が足りなかったり効果がいまいちだったりしたから。なんかシステムが練り切れていない感じがする。軍隊なんだから色々装備作ってメンバーに渡したいのに、作っても欲しがられないとメンバーの手に渡らないし、誰が欲しがるのかは運が大きいから。

    フィールド画面はしっかり3Dになっている。街が異様に狭いけれどこれはこれで動きやすい。ダンジョンやフィールドはしっかり広くて冒険している感じがする。古城とか遺跡とかとても雰囲気があって良かった。

    ストーリーは細かい点では良かったけれど大きな点ではいまいちだった。

    主人公のラッシュ少年は最初から強力な「レムナント」を二つも持っていて強いので、小国アスラム侯国の領主ダヴィッド・ナッサウは彼を取り込むためもあって彼の妹捜しに協力することになる。あまり世の中のことを知らないラッシュ少年が無邪気にダヴィッドのことを友達扱いする温度差がちょっと面白い。

    ダヴィッドは巧みに自分の目的に沿うようラッシュ少年を誘導し、自分も同行して政治目的を果たしていく。だからパーティメンバーには最初アスラムの4将軍が加わることになる。その後、行く先々の街で傭兵や仲間が増えていく感じ。ダヴィッドにとって小国アスラム侯国をセラパレス公国から独立させるのが悲願だった。

    聖都エリュシオンで諸侯による会議が開かれて政治の綱引きが行われるだとか、諸侯会議の議長であるエルマイエン公に協力を求めに行くだとか、政治劇がわりといい感じに繰り広げられていたのに、最後肝心のアスラム侯国独立の流れがまるで茶番だったのでガッカリした。

    メインストーリーの他に任意に受けられるクエストが各地にある。クリアしたあとであらためて思い返すと、マップの下半分ぐらいはちょっと言い過ぎかもしれないけれど別にクリアするだけなら行かなくてもいいぐらいの感じ。でもメインストーリーだけ追っていると自分の場合「鷲の巣」で敵が強すぎて勝てなかったのでパーティ強化がてら攻略サイトを見て一つ一つクエストをこなしていった。

    クエストはメインストーリーの進行状況によって消滅してしまうものもある。アクアラムクリアが一番大きな転換点らしいので潜る前に注意。クエストは受けるといきなり現地に飛ぶものがほとんどで、かつクリア条件を満たすと即座に受けた場所まで戻ってくる。移動が楽でいい反面、もうちょっと探検し続けたいのに強制的に戻されてしまうのでヤキモキする。

    題にある「レムナント」っていうのは、同社のファイナルファンタジーシリーズで言うところの「召喚獣」みたいなものだと思う。世界各国に強力なレムナントがあって国を統治する力ともなっている。ちょっと違うのは宝箱みたいな小さいものまでレムナントであるということ。人々はそれぞれレムナントと契約して彼らを役立てる。万物の精霊たるアニマみたいなものなんだと思う。

    物語の中盤で辺境諸侯の一人「覇王」がその武力をもって暴れまわるんだけど、そいつがなぜか各地の強力なレムナントを次々と支配下に置いていってしまう。なぜそんなことができるのか。アスラム侯国にも攻めてきた彼にどう対抗するのか。彼の最終的な目的はなんなのか。といった感じで物語がクライマックスへと進んでいく。

    ストーリー進行上、要所要所でマスコンバットがある。でもそれ専用のシステムがあるわけではなく、通常の戦闘として扱われる。普段の戦闘システムがマスコンバットにも適用できるから。戦闘が始まると敵と味方のユニオンが配置され、どのユニオンをどの敵に攻撃させるか、どういう攻撃をさせるのか決めることが出来る。

    このとき、ユニオン内の各メンバーになにをさせるのか選択肢が出てくるのだけど、割とおおざっぱな指示しか行えない。ファイティングアーツつまり物理攻撃主体にするのか、ミスティックアーツつまり魔法攻撃主体にするのか、HPに余裕を見てこまめに回復するか、みたいな。一つのユニオンの中で物理攻撃が得意なやつと魔法攻撃が得意なやつとを一緒にしてしまうと片方の長所が死んでしまう。なにか特定のことをさせようとしたとき(回復とか)、ユニオンの中でその行動が出来ないやつは待機してしまうし。

    まあ臨機応変にやれっていうのもあってそれを選べばいいのだけど、どういう選択肢が出るのか運(!)にも左右されるので常にやりたいことができるわけではない。必殺技みたいな感じでレムナントを使う大技を繰り出せるのだけど、その選択肢が出てくるかどうかも運(!)なのだ。

    一回の戦闘時間が長い。行動を決めるのはユニット単位なのだけど、実際に行動するのはそれぞれのメンバーだから、敵も味方も人数が多いのでいちいち時間を取られる。一回一回の攻撃は割とスピーディなんだけど、アーツを繰り出すとその演出で少し時間が掛かる。特に敵のボスクラスの技でうっとうしいのがあってイライラした。一方で、攻撃が当たらなくてミスるときのモーションが結構しっかりできていて、剣と剣がぶつかりあってガシッと止まるところなんかかっこよかった。いままでのRPGだとスカッていう音だけなのでイラッとするところだけど、本作だと逆に「おっ」と思ってしまう。まあ回避されるモーションもあるんだけど。

    基本的には敵を各個撃破するほうがいいのだけど、あまり一つの敵に集中していると横から他の敵がきて一方的に攻撃されてしまう。たぶん防御力のあるユニットを作ってそいつに攻撃を受けさせるのがいいんだと思うんだけど、そこまで硬いユニットを作れなかったのであきらめた。適度に分散させてそれぞれの敵に対してあたるほうがいいという結論になった。プレイヤー側のユニットは1ターンに1回しか攻撃できない。敵側のユニットもそうなんだけど大型モンスターやボスクラスだと行動は原則1回だけど受け側だとmulti lookupといって複数回迎撃してくる。

    士気が重要になっていて、上にバーが表示されて色んな行動により左右に動くようになっている。士気が最悪だと敵から倍ぐらいダメージを受けてしまう。士気を上げるにはたとえばブラフやエールといったアーツを使ったり、一つの敵を複数ユニットで攻撃したり、敵の狙いとは異なるユニットをぶつけたりする。また、敵の強弱によって最初から士気が高かったり低かったりする。

    戦闘に勝利するごとにメンバーの能力値が上がったり新たなアーツを覚えたりして成長していく。ちなみに戦闘をこなすごとにパーティ全体でbattle rank (BR)というのがどんどん上がっていって、そのたびに敵も強くなっていく。このあたりはサガシリーズそのまんまって感じ。これが上がるにつれてちゃんと能力値やアーツや装備を強くしていなかいと雑魚戦にどんどん苦戦していくようになるらしい。でも極端な戦い方さえしなければその懸念はないと思う。battle rankよりもダンジョンごとに設定されている(?)敵の強さのほうが大きいように思った。

    各キャラの強さの理由がよくわからなかった。大きなダメージを与えるキャラもいれば、大技っぽいのを使ったのに大したダメージを与えられないキャラもいた。能力値よりも何か別のものが作用してるんだろうなあとは思ったけれど、それ以上考える気になれなかった。そういうものなんだと思うことにした。システムがいろいろと凝りすぎていて分かりにくくなっていると思う。

    エンディングが意味不明だった。言いたいことはなんとなく分かったけれど、とってつけた感しかなかった。ほかにも色々とストーリーが薄いと思う。既に触れたアスラム侯国独立の流れのほか、ラッシュ少年と妹イリーナとの関係、親子の関係、エルマイエン公の考え、覇王の目的。世界設定は素晴らしいのに物語がグダグダなのが悲しい。

    音楽が割とかっこよかった。でもあまりファンタジーって感じはしなかった。ワールドマップの音楽がほんとフロントミッションっぽかった。っていうかフロントミッションの人だった。ゴリゴリ感のあるサウンドだと思う。

    10年以上前の古いゲームなのでいまのゲームPCならまったく問題ないと思う。自分の場合、Core i5 6500と8GBメモリとGeForce GTX 1070という5年前ぐらいのスペックで遊んだけれど、4Kで設定をすべて最高にしてもほぼコマ落ちしなかった。グラフィックスも普通にきれいだった。ロード時間もM.2 NVMeのSSDだったせいかほとんど気にならなかった。

    ゲームパッドというかプレイステーション4のコントローラーで遊んだ。Steamだとタイトルにもよるんだろうけれどちゃんと対応してくれた。ただしゲーム内のボタン表記がXbox 360コントローラーのものになってしまうので最初混乱した。PCでゲームし続けたいならXbox系のコントローラーを用意したほうがいいと思う。あと左スティックがしょっちゅうドリフトしてストレスがたまった。

    フルプライスで買って遊んだらモヤモヤするかもしれないけれど、いまは四千円程度で買えるので、王道のファンタジーものRPGをやりたい人、特にサガシリーズが好きだったという人なら遊んでみてもいいんじゃないかと思う。

    [参考]
    https://
    www.jp.square-enix.com/thelastremnant/

    (最終更新日: 2021年11月19日 by ひっちぃ)

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