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    ゆうきまさみ (小学館 少年サンデーコミックス)

    いまいち(-10点)
    2021年7月1日
    ひっちぃ

    空想近未来の日本では「レイバー」と呼ばれる大型作業用ロボットによる事故や事件が多発するようになり、取り締まる側の警察にもロボットを配備することとなる。ロボットを愛するボーイッシュな婦人警察官・泉野明(のあ)が志願する。少年マンガ。

    日本テレビ「川島・山内のマンガ沼」でお笑い芸人コンビ麒麟の川島がこの作品を勧めていたので改めて読んでみた。もう三十年以上前に連載が始まった古い作品で、自分もたまたま雑誌で何話か断片的に読んだ覚えがあるのだけど、すごくメジャーな作品(?)なのに全然面白くなかった記憶しかなかった。とりあえず序盤一番盛り上がるところらしい4巻まで読んでみたけれどやっぱり面白くなかった。

    この作品の面白いところは(どの口が言うんだ)、巨大ロボットが警察に配備されたらどうなるのかというのを結構リアルに描いているところだと思う。暴走しているロボットを取り押さえようとすると当然自分の機体もボコボコにへこむからそのたびに整備が必要だとか、基本的には警察組織なので銃は決まった手順を踏んで所定の狙いでしか撃てないだとか、予算の制限があってそう何台もロボットを配備できないし廉価版の機体も検討したりもする。乗るのも運用するのも人間であり組織なんだから色々としがらみがある。

    登場人物も魅力的で、ヒロインの泉野明はショートヘアでまるで男の子と見まごうほど元気いっぱいの女の子。というか自分はこいつのことずっと男だと思っていた。ロボットが大好きで特に乗機イングラムを愛していて、動作用のプログラムを愛情持って育てている。改めて見てみるとすごくかわいい。いま見ても絵にまったく古さを感じない(タッチが古い時もあるけど)。

    眠たげな眼をした第二小隊隊長の後藤は見た目どおり普段はあまりやる気のないおっさんなのだけど、組織のしがらみの中でうまいこと泳いでいっている感じがいい。新設されたばかりで立場が微妙な特車二課を維持するため第一小隊隊長の南雲しのぶとともに立ち回っている。

    他にも粗暴な太眉の太田と、彼を圧倒するスキのない女の熊耳武緒(ただし意外な弱点あり)、図体はでかいけどおっとりしている山崎ひろみ(男)。敵も悪の組織ではなく謎の企業の社員たちなのがリアルで、自社の製品を売るために暗躍している。このように特徴的な面々が物語を彩っている。

    でもなんかつまらないんだよなあ。麒麟川島が言うには今だったら単行本7冊ぐらいで終わるような筋書きをじっくりと描いてみせているらしい。そういわれるとなんか分かる気もする。話に全然引き込まれない。

    Wikipediaを見ていて驚いたのだけど、この作品は刑事ドラマ「踊る大捜査線」に影響を与えているらしい。確かに「組織としての警察」を描いている作品として先行している。自分はさらに後発の泰三子「ハコヅメ」を先に見てしまったのでなおさらつまらなく感じてしまうのだろうか。

    結局のところこの作品は「女の子」と「ロボット」というオタクが好きな二大要素をリアルな設定と筋書きで包んだだけなんじゃないかと思えてきた。警察ものにありがちな人間ドラマがないし、個性的な面々が出てくるけれどやりとりが希薄だった。これじゃオタクにしか受けないよなあ。

    女の子らしくないヒロイン泉野明をあまりいじっていないのはどうしてなんだろう。そういうベタな流れを避けてひたすらストイックに描いているのは逆にすごいと思う(それにどんな意味があるのか知らないけど)。こいつがなぜロボットを好きなのかよく分からないし、ロボット以外に何が好きなのかも見えてこない。ロボットを雑に扱う太田のことは嫌いだろうし、逆に丁寧に整備してくれる整備士のことは好きなんだろうけど、そういった感情を表すこともない。大げさに言うと人間味がないと思う。

    ロボットが警察で運用されることの面白みも希薄だと思う。ロボットならではの話がそれほど出てこないし(形だけ)、かといってロボットになっても人間のやることは変わらない的な面白みも感じなかった。

    どうもアニメが始まりみたいだから話は後付けなんじゃないかと思う。正直自分は「アニメオリジナル」というだけでその作品は大抵つまらないと思ってしまうし、そのぐらいアニメ業界の原作というか原案はひどい。たぶん彼らは普通の人が面白いと感じるものに興味がないのだと思う。興味ないなりに技術論的になんとかすればもっと売れそうなのに。

    というわけでオタク的な楽しみ方が出来る人なら見てみるといいかもしれない名作(?)みたいなのだけど、そうじゃないなら無視したほうがいい作品だと思う。

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