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    岡田和人 (秋田書店 ヤングチャンピオンコミックス)

    まあまあ(10点)
    2015年4月8日
    ひっちぃ

    モテないのに自分の体面を気にして行動に踏み出せない高校生の相羽英男だったが、ある日クラスに自分の好みピッタリな少女が転校してきたので仲良くなろうと決意する。恐る恐る行動に出ると、そんな彼のさりげなさを装った自己本位の態度を見透かすように彼女はそっけなくする。それでも彼女は突き放さずに彼を見守り続けるので、彼は少しずつ自らのカラを破る…彼女に尽くす道を歩み始めるのだった。少年マンガ。

    なんか海外の反応系のサイトで作品名が上がっていたので読んでみた。

    普通の少年が小悪魔っぽい美少女にひざまずいて言いなりになるという旧世代の作品で、読んでいて妙に腹が立った。なぜ腹が立つのかというと、平凡な男が美しい女と関わりを持つためには尽くすしかないのだという現実(ルール?)を突きつけられるからだろうか。青春時代、気になる異性(別に同性の友達相手でも)の一挙手一投足に敏感になっていたときの気持ちを突かれるようだった。それでもやっぱり読み進めてしまうのは、尽くしてでも美少女と関わっていたいという気持ちが主人公と同期するからなんだろうか。それとも単にエロ描写を見たいからだろうか。

    絵がエロい。なんだかんだで巨乳全盛のなかで、痩せ型で貧乳(でもBぐらいはある)の女の子をシンプルな線なのにねちっこく肉感的に描いている。この絵は自分にとってド真ん中というわけではないけれど、結構好みでとてもよかった。

    主人公の男の子の行為が結構変態的だった。彼女の体についた何かを拭き取る代わりに舐めだす。ここまではいいと思う。日常を踏み出して愛欲の世界に一歩踏み込むところなので、いきなりキスをするとか胸をもむとかじゃなくて、ああ踏み出したなっていう感じがして共感できる(?)。でも読み進めていくに従ってそれが実は少年にとってすべてというか、過程じゃなくて目的そのものであることが分かり、主人公に対してあんまり共感できなくなった。最終的になんと飲尿が少年にとって最も興奮する性癖であることが分かる。人は誰しも何らかの形で変態だと思うし、少年にとってそれが一番重要なことだということについて理解することは出来るのだけど、やっぱり引いてしまう。

    ストーリーはというと、少年は「浪漫倶楽部」という部に所属していて、そこでの活動が大体メインになっている。この「浪漫倶楽部」というのは事実上のオカルト研究会みたいなものなのだけど、違うのは部員に対して女の子と付き合うのを禁止していて、それを卒業まで守り続けていれば各界の実力者であるOBの人たちからの全面的なバックアップを受けて社会的に成功することが約束されていること。

    じゃあこの部は男ばっかりかというとそうじゃなくて、転校生の彼女とあと色黒巨乳バカ女が一緒に活動することになる。古谷実「行け!稲中卓球部」と非常によく似ていると思う。色黒巨乳バカ女の名前が同じ「京子」なのもオマージュ(敬意)なんじゃないかと思えてしまうぐらいに。非オタの女の子二人が、オタクやバカ男どもに混じってなんだかんだで部活動をしている点がそっくり。

    途中で主人公の男の子は、転校生の彼女が体の弱いことに気付く。いきなり鼻血を出したり、頻繁に学校を休んだりする。気になって聞いてみると彼女は最初笑うけれどそれ以上突っ込もうとすると怒ったりそっけなくしたりして彼を突き放す。そこで逆に気にしないでいつもどおりにしていると元に戻る。読者としてはとても気になる。正直自分は全体の半分を折り返したあたりでこの作品にすっかり飽きていたのだけど、この彼女の病弱なところが最後まで気になって読み進めた。そうしたら最後に怒涛の展開が待っていた。もし半分折り返す程度まで読み進むことが出来たのなら、がんばって最後まで読んだ方がいいと思う。まあストーリー的に面白いわけじゃないので安易だと思わなくもないのだけど、読後感はすごくよかった。ただ、そこにいくまでの話の数々がつまらないし、エロにも飽きてくるので、つまらなかったら無理に読まなくてもいいと思う。

    この物語は主人公の少年の成長の物語でもあるのかもしれず、その点についてのほのめかしもあるのだけど、なんかあんまり作者が重視していないように思った。なんだかんだで自分がかわいい小心者で、ある意味卑怯者だった少年が、好きな女の子に対してなりふり構わず行動するようになり、そしてビクビクしていたのが最終的には自信まで持つようにまでなったのはとてもいい話だと思うのだけど、その点をちょっとあっさり描きすぎだと思う。作者にとってそんなに重要じゃないってことなんだろうか。

    結局「浪漫倶楽部」のOBはどこまで知っていてどこまで裏で操っていたのかもほとんど描かれなかった。そのおかげで話が安っぽくならずに謎の部分を残して終わっているのは良いのかもしれないけれど、もっとなにか作品のテーマみたいなものについて堂々と語ってくれちゃったほうが良かったんじゃないかとも思う。

    色黒巨乳バカ女の京子が涙を流すエピソードがすごく良かった。…良かったのだけど、なんでこの話だけこういうノリで単発でやるんだろう。そのあと何も拾ってないし。彼女のキャラクターに沿って自然に話が進んでいればもっと良かったのになあと思った。まあでも最後にちゃんといい感じの結末がつくのでいいのかな。

    美少女を崇拝できる人、ストーリーが最後以外微妙でもエロ描写で読み進められる人なら読んでみるといいと思う。

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