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  • サクラ大戦 熱き血潮に

    セガ、広井王子、他

    まあまあ(10点)
    2005年7月8日
    ひっちぃ

    すっかり西洋文明を取り入れて独自の豊かな時を迎えていた大正時代の日本を舞台に、表向きは銀座に本拠を置く劇団・帝国歌劇団、裏では特殊部隊・帝国華撃団として、帝都を転覆させようと謀る謎の組織と戦いを繰り広げる。プレイヤーは隊長の犬神少尉を操り、メンバーの女性たちとギャルゲーの要素で親睦を深め、シミュレーションゲームの部分で活躍させて攻略を進める。

    女の子たちとの付き合いをメインとするいわゆるギャルゲーの中でも、かなり知名度の高いシリーズの、本作は一作目をPS2向けにリメイクしたもの。ギャルゲーのほとんどは基本的にPCから生まれており、いくつかの作品がコンシューマゲーム機に移植されてからじわじわと市民権を得てきた。男性向けがほとんどだが、女性向けの作品もわずかながらある。Hなジャンルのゲームとの境界があいまいなところがあり、どうせならHな内容で楽しみたいものだと思われがちだが、実はHではない作品のほうがよく売れているらしい。私はこの分野にあまり詳しくないのでよく分からない。

    シミュレーションゲームの部分は、戦闘ロボット数機によるシミュレーションRPGだ。ギャルゲー要素が主体なだけあって、戦闘中にキャラ同士を接近させると会話が発生したり、必殺技に毎回アニメーションが再生されたりする。ギャルゲー部分で主人公と親しくなったキャラには攻撃力や防御力や行動力にボーナスがある。

    キャラがしゃべるしゃべる。もろアニメの声優の声なので最初は気恥ずかしい。ただしフルボイスではない。序盤は八割以上しゃべっていた気がするが、中盤気づいてみるとほとんどしゃべっていない。導入を重視したのか、それとも単なる行き当たりばったりなのか。

    メンバーの女性が六人、それと事務系が三人、副指令が一人、合計十人の女性が登場する。男は主人公の若き海軍士官・大神少尉と、帝国華撃団の指令・米田中将だけ。ストーリーはアニメっぽく全12話構成になっている。最初の数話は、各メンバーを一人一人取り上げている。

    さてギャルゲー要素の部分はどうなっているのかというと、劇場のマップを好きに歩き回り、誰かに遭遇したり会いに行ったりして会話を発生させ、会話中に出てくる選択肢を選ぶことで好感触を得たり嫌われたりする。

    やっていると自分の性格が浮き彫りになってきて怖い。最初私は、着任時に最初に会ったという設定上から少女剣士サクラと、小学生以下の超能力少女アイリス、この二人にしか積極的に会いに行こうとしなかった。うーん、大人の女性と接しようとしない弱い男の一人だったのか自分。

    よくわからないが最終的に一人のメンバーを選ぶことになるらしい。私は一応自分の思考パターンの通りに選択肢を選び、行動してみたが、最終的に選んだのはなぜかマリアだった。本当はサクラが一番好きだったのに、ちょっとからかいすぎたか。マリア、そんなに好きじゃないんだけどなぁ。サクラとはそんなに会話が発生しなかった。この作品のヒロインなのに。なぜかカンナとよく話した。カンナは体育会系で、カラッとした性格が良かった。すみれとは絶対合わないと思ったが、強がっているところがひかれたり。

    何かで読んだのだが、ギャルゲーをやりすぎると、相手の機嫌を伺うようなコミュニケーションしか取れなくなると誰かが言っていた。まったくその通りだと思う。非オタクな頭の中カラッポ系の人は、むしろ相手をいじってけなすようなコミュニケーションを取ることが多い。それの良し悪しはともかくとして、機嫌を伺うだけがコミュニケーションではないことは確かだ。まあ、「ポイントを稼ぐ」という言葉があるとおり、有効な手段ではあるのだが。

    ちょっと弱気な選択肢を選ぶと、彼女たちから説教を受けてしまう場面も何度となくあった。中には露骨に説明的な言葉で言われたりして、こんなやつとは絶対つきあいは持たん、と思うことも。

    会う人会う人、向こうから適当に話をしてきて、こちらが返しているうちに、大体向こうが主導権を持って会話を切り上げてくる。こんなに都合のいい世界なんてあるものか。

    とまあぶつぶつと文句を言ってきたが、基本的に楽しいゲームではある。なにせハーレムだ。彼女たちは大なり小なり主人公に好意をもっていることになっている。ちょっとむなしくはあるが、夢のような状況を体験できる。素晴らしいゲームだ。プレイしていてニヤけてくることも幾度かあった。

    ただ、結局私はそんなにこのゲームには入り込めなかった。大体一日一話のペースで進めていったが、時に一話進めるのが苦痛に感じることもあった。義務的にプレイしてしまう。どうしてなのだろう。帝劇の閉じた空間での夢のような生活をなぜ楽しめなかったのだろうか。

    シミュレーションゲームの部分がタルい。それなりに力は入っているのだが、どうしても単調になってしまっている。各ステージに工夫のあとはあっても、シミュレーションゲーム好きには全然物足りない。というか普通のゲーマーですらどれだけ楽しめているのか疑わしいと思う。

    それに、戦闘までの茶番もダメ。黒之巣会とかの敵の組織がいかにもアニメの敵役といった感じで話を盛り上げようとしているのだが、これを見たオタクゲーマーの頭の中は「おやくそくおやくそく」と不気味な思考をめぐらせているのだろうなと思うとゾッとする。このへんは、昔からあるこの手のアニメや戦隊モノを懐かしみながら楽しむものなのだろう。ここから何か新しいものを作り出そうという意図は製作者側にはまったくないということが明白だ。

    結構作りこまれた作品だ。花札のオイチョカブのミニゲームまである。多分、最初からもう一度やるとまた違った内容が楽しめるようになっているのだとも思う。大ヒットしたゲームなのだから、大多数の人にとっては、十分楽しめる作品なのだとは思う。

    クリアまでに25時間ぐらい掛かった。世に出たゲームを一通りやっておきたいと考えている私のような人間にとっては、このゲームをプレイして色んな意味で良かったと思っている。

    藤島康介のキャラ原案はよく出来ている。さくらなんて特に。怒った時の三角形の目がまたいい。音楽はそこそこ。トゥーンレンダリングを始めとした3DCGの完成度も高い。ロボットのデザインはよくまとまっているが根本的にちょっとダサいかも。

    この作品がなぜ私にとって今一歩なのか未だによく分からないのだけど、会話の奥行きを増す仕組みを何かもっと作って欲しかったんじゃないかと思う。きっとそうだ。

    言い忘れたが、世界観とか演出はすごくいい。中国とか韓国では出せないんだろうな。主人公や司令がもろ帝国陸海軍の制服着てるし。

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