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    福田 和也 (文春文庫)

    まあまあ(10点)
    2005年5月2日
    ひっちぃ

    歴代総理を初代伊藤博文から小泉純一郎まで100点満点で大胆に採点した内容。元は文藝春秋80周年企画。

    電車で読む本がなかったので、急遽なにか楽に読めそうな本を探したところ、文春文庫の棚の前でまずこの本が目に入ったので、パラパラめくって買ってみた。

    東條英機の採点がボロボロではないのを見てから購入を決めたが、著者が福田和也なのだからそんな心配はする必要なかった。と言うほど私は福田和也がそんなに好きではないのだが、若い世代の比較的オールラウンドな教養人と言えば、この人と宮崎哲弥ぐらいならすごく勉強してる人だと思うし、多少自分と考え方が違っても読んで損することはなかろうと思っている。

    まず私は読み物として読んだのだが、さすがに総理の人数が多くて一人一人に記述を裂いていられないので、その点では物足りなかった。読み方を間違えた。

    著者本人が繰り返し言うように、点数をつけるというのはかなり乱暴な行為なのだが、それをやってしまうところがとてもパワフルで、私は好感を持った。誰かに批判されることを恐れては、とてもこんなことは出来ない。その点で福田和也の勇気は尊敬に値する。週刊新潮の連載時評は何度読んでも好きになれないのだが。

    この企画はかなりの反響を呼んだらしい。かなりといってもごく一部の読者なのだろうが、なかには自分で採点したリストを著者との座談会の出席者に渡す人がいたという。私は歴代総理の採点なんて自分でやってみようとも思わなかったので、完全な受身で読んでしまったが、自分なりの考えを持っている人が読んだら楽しめるんじゃないかと思う。

    それでもこの本は中身が薄いなと思う。基本的に月刊誌の一か月分の特集記事と、そのあとの座談会の内容を、多少加筆して文庫本一冊に引き伸ばしたのだから、そう思うのも無理はないだろう。もうちょっと工夫があって欲しかった。点数の内訳を考えてみるとか、座談会参加者の採点やコメントも個別につけるとかあるだろう。省エネで文庫本をでっちあげたと言われたら返す言葉はあるのだろうか。

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