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    藤原伊織

    まあまあ(10点)
    2004年12月20日
    ひっちぃ

    広告代理店の営業部、アウトローを内に秘めつつ真面目に働く中間管理職の主人公。大手電機メーカーのコンペを軸に、幼馴染の三人の不幸、コネ入社なのに真剣に働く後輩の物語が描かれる。

    導入から引き込まれた。ガチガチの企業モノで、突如舞い込んだコンペに、部署間の縄張り争い、魅力的な女性部長。なんだろう。ワクワクする企業ファンタジーの始まりだ。そこへ突如として話が主人公の子供時代に飛ぶ。過去と現在がどのようにつながっているのかがこの話のポイントだ。ネタバレになるのでこれ以上書けないのが残念。

    そこでいきなり批評に移る。この話には大きな謎解きがある。主人公が謎を解き明かそうと走り回る展開は非常に面白かった。ただ、私はその謎と仕掛け自体はあまり楽しめなかった。ふうん、って感じ。これは連載小説だからかなぁ。ディテールと謎解きで読ませる作品なのだろう。

    主人公モテモテ。押さえるところは押さえてるんだなと思った。中年男のファンタジー。

    私の中で一番印象に残ったのは、鋼鉄の能吏、社長。まるでマンガで、こんな人っているんだろうかと思ったけど、とてもリアリティがある。主人公とのやりとりの緊張感がギンギンに伝わってくる。

    脇役も味がある。というかビジネスの舞台に出てくる人物はみんな魅力的だ。反面、主人公がよく足を運ぶバーのオーナーで裏社会との接点を持つ男は、それっぽさは押さえているものの、いまいち描ききれていないように思う。

    私はどうも連載小説というものを読むのがヘタなのか、どれを読んでも終わり方があっけなく感じてしまう。単行本で読んでいたら、終盤で盛り上がったらあとは結びなんだなと思いながら余韻を楽しみつつ最後まで読み進むことが出来たんじゃないかと思う。この作品も、真犯人が見つかって真実が明らかにされたところがクライマックスで、あとの話はおまけというか余韻のために用意されていたんじゃないか。でもその割にはクライマックスが大したことなかったなぁ、と思う。

    この人はガチガチの企業小説を書いていればいい人なんじゃないかなぁ。とは言っても、派遣社員の平野はちょっと魅力的だった。登場時がかなりわざとらしかったが、あとは入っていけた。

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