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    米原万理×糸井重里 (週刊文春 2002.9.5 学ぶが変わる ベネッセPR)

    まあまあ(10点)
    2002年9月5日
    ひっちぃ

    ロシア語同時通訳者・米原万理と、有名コピーライター糸井重里との対談。同時通訳の面白い逸話、言語学習、日本人が論理構築の不得手な理由などを語る。

    一番興味深かったのはやはり日本固有の話。日本は早くから紙が豊富にあって、日本人が和紙で鼻をかんでいるのを見て、18世紀に来日した西洋人が贅沢だと驚いたらしい。日本万歳。

    紙が豊富なのはまあ中国が発明したからで、漢字圏は概して紙が豊富なのだそうだが、そのせいでロジックが苦手だという興味深い指摘をしている。ロジックつまり論理とは、高度な思考をするためのツールという以前に、紙に書き付けないで覚えるための手段だったそうだ。日本の学者はロジックが破綻している、とまで言ってしまう米原の言葉は辛らつだが、そこには紙が豊富にあってロジックで覚える必要がなかった日本という根があると言っている。

    引き続き、記憶を紙やコンピュータに任せるのではなく、自分の頭で記憶することが創造性につながる、という展開をしている。ギリシア神話では、芸術の女神たちが 9人、ゼウスと記憶の女神との間の子供ということになっているらしい。こういう知識はちょっと記憶しておいて、何かの時に開陳してみたい。そんな教養を持った人に少しあこがれないこともない。

    米原が同時通訳を始めた頃の話とか、一線にいて外交のやりとりを通訳したときの話とか、どれもそれなりに興味深い。なかでも、外務省の報道官が「裸のつき合い」という日本独特の表現にこだわりうまくロシア語に訳せと言ってきたときに、米原が「ロシアの今の外相はホモっていう噂なんですよ」と言ってロシア風の表現に変えさせたというのが面白い。

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