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兄ちゃんの弟

桜場コハル (講談社 少年マガジンコミックス)

いまいち(-10点)
2023年7月2日
ひっちぃ

普通の高校生ジローには同じ学校に在籍する人気者で変わり者の兄タローがいた。タローは校内にいると何かと騒がれるためいつもマスクをかぶってジローのもとを訪れていた。そんな二人のもとにジローのことが好きな伏見さんを始めとした風変わりな面々が集まってくる。「みなみけ」の作者による学園コメディマンガ。

同じ作者の「みなみけ」が好きなので読んでみた。いまいちだった。

まずタローの存在がカギになっている。こいつはなんでもできる万能人間でなにかと活躍しているらしい。それにひきかえ弟のジローは平凡な日陰者の生活を送っている。この二人が兄弟だということはまあ知っている人は知っているのだけど、二人で一緒にいることはほとんどないので二人を兄弟だと知らない人もいる。

タローはジローと一緒にいるところを学校で見られるのはジローにとってはよくないことだと勝手に思っているのでいつもマスクをかぶってジローのもとを訪れている。このちょっとズレた兄のもとにさらにちょっとずつズレた面々が集まり、組み合わさって大きなズレとなることによって主人公である平凡な弟が振り回され読者を笑わすしくみになっている。

三回もアニメ化された「みなみけ」と同じ作者の作品なのにそれほど楽しめなかったのはどうしてなのか考えてみたところ、「みなみけ」は萌えマンガにギャグが組み合わさった感じなのでこのぐらいの笑いがちょうど良かったのに対して、この「兄ちゃんの弟」はギャグマンガに萌え要素が組み合わさった感じなので、その割にギャグが弱くて満足できなかったんじゃないかと思った。

じっくり読むとわりとおもしろいギャグが出てくるのだけど、なんか笑う感じになれないのはどうしてだろう。萌え要素もなぜか萌える感じがしない。男の子も女の子もかわいいのに。

タローがいつもマスクをかぶっていて表情が分からないのが大きいのかも。これまでのギャグマンガでこんなキャラいたっけ?スーパーササダンゴマシンみたいな知的な小笑いしか取れなさそう。けっこう仮面はジャンルが違うしなあ。目は見えていたし。

登場人物に動機付けが足りていないからかもしれない。前作「そんな未来はウソである」では、他人のウソを見抜ける佐藤アカネが、人と目を合わせるとその人の未来が見えてしまう大橋ミツキの迷走をなんとかしようと奮闘するけどなかなか思い通りにいかないのがおもしろかった。ちょっとややこしかったけど。

この作品の場合、ジローは「兄ちゃんの弟」という従属的な立場を脱したいみたいなのだけど、平凡ゆえかそれほど必死さがない。伏見さんがジローと親しくなりたがっているというのは正直わけがわからない。そしてタローは一体なにがしたいんだ。負けず嫌いなところと、弟と遊びたいところがそうなんだろうけど、こいつに関してはもう勝手にしろとしか思えなかった。

ドタバタした雰囲気が好きな人ならワンチャン楽しめるかもしれない。

[参考]
https://kc.kodansha.co.jp/
title?code=1000034581

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