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この美術部には問題がある! 8巻まで

いみぎむる (アスキー・メディアワークス 電撃コミックスNEXT)

まあまあ(10点)
2017年5月30日
ひっちぃ

元気な中学生女子の宇佐美みずきは、同じ美術部にいる内巻すばるくんのことが好きだったが、彼はアニメ絵の女の子にしか興味がなく、彼に告白する勇気もないのだった。少年マンガ。

いつだったかアニメ化されたのを見て、話としてはそれほど面白かったわけではなかったのだけど、ヒロインの宇佐美さんがけなげでかわいかったので原作にも手を出してみた。

この作品、宇佐美さんという女の子が主人公で、内巻くんのことが好きなのについつい強情になって内巻くんのことを振り回してしまい、あとで後悔したり恥ずかしがったりするのがかわいい。対する内巻くんは天然で、宇佐美さんの好意は届かず、宇佐美さんは叶わない恋にもだえるのだった。絵も好みだし彼女のことをすぐに好きになった。

内巻くんは見た目がかわいい男の子なのだけど、2次元(アニメ絵)の女の子しか愛しておらず、3次元(現実)の女の子については何とも思っていない。それどころかちょっとバカにさえしている。なので宇佐美さんとは友達のように近い距離感で接しており、そこがまた宇佐美さんの心を揺さぶるのだった。

部長はなまけ者でいつも部室のソファーで昼寝していて、朗らかな変人っぷりを見せつけたり、二人のことをからかったりする。後輩のコレットさんは金髪のかわいい女の子で、子供の頃から日本にいるのでほとんど日本人だけど、外人的な常識外れの行動をとるキャラ。顧問の立花先生はおどおどした真面目な巨乳キャラで、みんなに振り回される。

あとレアキャラだけど宇佐美さんの母親がウケる。内巻くんからの家電話を娘に取り次いだままさりげなく部屋に居座ったり、陰から娘の青春を覗いたりするところが。

作者自身がプロモーションマンガで言っているように、この作品は宇佐美さんの魅力が80%を占めていると思う(作者は冗談で言っているのかもしれないけど)。話の筋や他のキャラの振る舞いもすべて宇佐美さんを輝かせるための装置みたいになっていると思う。そのせいか知らないけれど、日常ものとは切っても切り離せないキャラクターものとしては弱くなっていると思う。

サッカー部の男とチア部の女のいがみあい(じゃれあい)を描くなど、作者は脇役にも気を配っているのだけど、いまいちキャラクターものとしては成り立っていない。宇佐美さんのお友達三人衆なんかもラブレター騒動なんかでそれぞれ面白いことをするのだけど、妙に愛着が持てない。彼らの意志が見えにくいからだと思う。

部長やコレットさんなんかは天然キャラなのに宇佐美さんのことをいじってくる。それによって宇佐美さんが照れて宇佐美さんの魅力が引き立つのだけど、部長やコレットさんのキャラがブレて違和感が積み重なっていく。伊万莉さんはただ中二病っぽい振る舞いをするだけのキャラとして描かれていて、内巻くんのオタク趣味と引っ付けて急接近させて、宇佐美さんを慌てさせるためだけの装置として登場したせいで、彼女自身が何を考えているのかが全然描かれていない。

絵が結構よかった。コマ割りとか構図とかすごく読みやすくてすっきりしている。キャラが割とリアル体型で胴長短足だったり造形が意外とゴツッとしているけれどしっかりかわいい。時々宇佐美さんのややデフォルメされた絵が雑に感じたけれど、絵をじっくり楽しめる作品だと思う。

ときどき出るギャグが面白かった。思わず吹き出すレベルにはなかなかいかないけれど、何度もクスッときた。エロ本騒動とかグングニルとか色々。

美術部関係のネタがちょこちょこ出てくるけれど、全体的な割合は低いと思う。ゴッホのひまわりネタとか。もっと小ネタを出せばいいのに。

素直になれない元気な女の子が好きな人ならドハマりするほか、どんな人でも最低限楽しむことの出来る読みやすい本なので、気楽に読むものを探しているなら読んでみるといいと思う。

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