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木曜日のフルット 1巻だけ

石黒正数 (秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)

傑作(30点)
2011年4月14日
ひっちぃ

半分野良のダメネコのフルットは、やはりダメ人間の鯨井という女からいつもエサをもらっていた。鯨井は売れないマンガ家のアシスタントでかろうじて生計を立てており、後輩で整体師の頼子から心配されながら暮らしていた。ネコの世界と人間の世界が平行して描かれるちょっとシュールでほのぼのしたギャグマンガ。

下町コメディマンガ「それでも町は廻っている」の作者である石黒正数が、週刊少年マンガ雑誌の少年チャンピオンの巻末に毎週2ページで連載している作品らしい。2ちゃんねるで情報収集したところ、「それ町」以外に同じ作者で面白い作品として「ネムルバカ」と並んで勧められていたので読んでみた。

ネコというあざといキャラを使っているのだけど、主人公(?)のフルットはいつも口をへの字に結んで彼なりに色々思索しながら生きていて、彼のネコらしからぬ勘違いや大げさな思い込みが面白い。バラエティ豊かなギャグがちりばめられているのだけど、中でもズレで笑うタイプのギャグが多いように思った。あんまりストレートに笑えるわけじゃないので一般ウケするのかどうか分からないけれど、毎週2ページで毎回なんらかのストーリーが展開されたあとに最後きっちりオチがあるというのはすごいと思う。微妙なオチの回も多いのだけど、じわじわ来るしその微妙さ加減がなんともいえない。

まあでも私は登場人物に特段の思い入れを抱くことが出来なかった。どの登場人物にもそれなりに魅力があるし、特にフルットの色々考えすぎなところはかわいいと思ったのだけど、作品を愛するレベルにまでは至らなかった。でもきっと鯨井先輩や頼子やフルットにハマる人は少なくないと思う。ゆるい日常ものギャグマンガが好きな人ならぜひ手にとってみたほうがいい。

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