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クローズアップ現代「大丈夫か?ニッポン株式市場」

NHK総合 (2008-6-9)

まあまあ(10点)
2008年6月9日
ひっちぃ

買収防衛策を取り入れて投資家とまともに会話しなくなった日本の株式会社から資金を引き上げるファンドが増えてきたことを取り上げている。外資だけでなく日本の年金ファンドすら日本市場から外国の株や債券に投資先を移す動きすらあるという。

買収防衛策は経営者の保身だという痛烈な批判はなぜか聞いていて愉快だった。私も前はハゲタカ外資を一緒になって敵視していたが、今はなんか違うんじゃないかと思っている。特に今は企業ばっかり儲かって、従業員に還元しないばかりかやたらと内部留保をため、会社の上にいる人たちばかりが役得にありついている。

日本の投資家や経営者が会社を握ってないと日本人従業員を搾取するんじゃないかというイメージを長いこと持っていたが、トップが外国人だろうと全然関係ないんじゃないだろうか。むしろ日本企業の中で低賃金で働いてきた技術者が定年後に海外の会社に高給で雇われるなんてことも起きている。

もともと日本人は、国民の平均的なレベルが群を抜いて高いのに対して、トップの質が悪いと言われている。逆にアメリカなんかは庶民のレベルが低い代わりにトップ層の質がかなり高い。だったら日本人トップなんていらないから海外から経営層の人材を連れてきたほうがいいんじゃないだろうか。といってもアメリカだってCEOなどの経営層同士がツルんでお友達同士で役員を回しているという話も聞くからどっちもどっちなのかもしれない。

ニッセンホールディングスが株価低迷のため、買収の危険のある中であえて買収防衛策を廃止したのは興味深かった。トップが力を持ってないと無理だろうなあ。だって役員が何人もいて利害が共通していたら保身に走りやすいと思う。買収されてあっさりバラ売りされたらウケる。

でも、もしバラ売りされたとしてもそれは、今の企業の経営がひどすぎたという証明にしかならないと思う。確かに長期的な視点で育てている事業だってあるのかもしれないけど、だったらそれはそれで分不相応なことをやっていたということだ。

私はいまたまたま金融機関で仕事をしていて、企業の年金ファンドとかがどう運用されているのかを知る機会があるのだけど、海外の投資顧問に頼んで海外に投資するところが多いなあと感じている。あの巨大ファンドが外株外債だけで運用するようになっていることに衝撃を受けた。これじゃ日本の株価は低迷するわと思った。

まあでも今の日本企業には資金がそんなに要らないんだろうなと思う。自己資金と銀行からの融資と相互出資で十分やっていけるのだ。それで十分産業が回っているならそれはそれでいい気もする。

だが、膨大な資本がモノを言う半導体や重工業などの分野で押されているのは事実だし、そのうち他の産業も日本に進出してくるかもしれない。そのとき日本は色んな規制とか商慣習の違いを持ち出して水際で守るんだろうなあ。いまでもそれやってるし。でも、企業ばっかり肥え太って購買力の落ちた消費者しかいなくなる日本には魅力が無くなっているかも。一部の金持ち層が買いあさるブランドばかり今でも進出してきているけど。

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