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御神酒徳利

古典落語 (柳家権太楼版 テレビ東京 落語の極 2006.11.30)

駄作(-30点)
2007年3月4日
ひっちぃ

屋敷に出入りしている八百屋が、いじわるな女中に仕返しをするために御神酒徳利を水瓶の中に隠し、それを自作自演の占いで見つけてみせたところ、そんなにすごい占いの技術があるならぜひと重大な頼まれごとをされてしまい、引くに引けなくなるのを調子よく切り抜けていく落語のネタ。

と書いたものの、落語全般に言えることだが演者によって話が違っていたりするらしい。私がテレビで見たのが柳家権太楼という人のやっていたもの。

若手お笑い芸人の中で爆笑問題の太田光など落語の重要性を語る人がいたり、週刊文春で堀井憲一郎が時々落語特集で色んな切り口から集計を取ったりしていたので、私も落語が気になってテレビでやっていたらとりあえず録画して見てみようと何本かとってみた。

ここで紹介するのは結構長いネタだ。落語の中では大長編に分類されると思う。たった一人でここまで表現してしまうのは素晴らしいとは思うのだが、現代の我々には他に沢山の娯楽があるわけで、なんだか微妙だなあと思ってしまう。

正直いまの若手お笑い芸人のやっているネタのほうがずっと面白いと思う。たまに、時をおかず違う番組で同じネタを二回見てしまうことがあるのだけど、それでも楽しめてしまうぐらいよく考えられている。これらが次の世代の古典として残ったりしないのだろうかと期待してしまう。

で、柳家権太楼の御神酒徳利について言わせてもらうと、まずネタに入る前の導入部がウザい。落語家なんて気楽な商売だという定番っぽいつかみ。座布団の縫い目がどうのでかます偽知識で客をからかうところ。こういうのが好きな客は多いんだろうけど、私は最初から不快になった。

話芸の技術としては素晴らしいと思った。一人で多彩な人物を演じ分けるところ。あと、古典落語にちょろっと現代的なネタを混ぜるところ。

肝心のストーリーが古くて面白くない。その場その場の切り抜け方に奇抜さが薄いし、調子のいいところも普通の人と比べてそんなに面白みがあるわけでもない。自然この先どうなるんだろうという期待感まで減ってしまう。主人公に感情移入できないのでドキドキもしない。解決方法も場当たり的で安易。

江戸時代の娯楽がいまも残って発展しつづけていると考えるとすごいことなのだけど、そこを抜きにすればダラダラとテレビを見てるのと変わらない程度のものだと思う。

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