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ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜 DX
大好きだったおばあちゃんが亡くなり一人ぼっちになってしまった少女ソフィーは、おばあちゃんの跡を継いで錬金術師として独り立ちする。友達や様々な人に助けられながら、小さな街キルヘン・ベルで生計を立てていこうとする。アイテムを組み合わせて合成するコンピュータRPGアトリエシリーズの17作目。

もうこのシリーズは自分の中ではいいかなと思ってだいぶ離れていたのだけど、どのゲームをやろうか選ぶときによく参考にしている「ゲームカタログ」というサイトを見ていたら、どうやら自分がいままでに遊んできた作品はどちらかというと評判のよくないものばかりだということに気づいたので(そりゃそうだ投げ売りされていたものばかり買ってきたのだから)、今回はちゃんと評判のいい作品に限定しつつそれでもやっぱりセール品を探すことにしたら(!)、ゴールデンウィークのセールでこの不思議シリーズ三部作が九千円ぐらいになっていたので思い切って一括で買ってみた。とりあえず今回紹介する最初の一作はまあまあ面白かった。

プレイステーション4とNintendo SwitchとPC(Steam)版が全部同じ価格だったのでどれにしようか迷った結果PC版にした。Switch版のほうが手軽に遊べそうだったけど他と比べて画質やフレームレートが劣悪だったし、PS4のほうがPC版に比べて安定してそうだったけどいまはコンシューマーゲーム機の優位性がそれほどなさそうだったので、PC版のほうがマシンの性能次第ではあるけれど一番キレイらしいというのでこれを選んだ。五年前のミドルハイGeForce RTX 1070でも余裕で遊べた。ちなみにいまはビデオカードの値段が高騰しており、当時四万ちょうどぐらいで買った1070と似たような性能の1650あたりが五年たったいまでも新品で四万数千円もしている。

今回の主人公ソフィーは振り返ってみるとあまり個性のない女の子だった。でもそれは悪い意味ではなくて、オタク向けに極端な性格づけを行っておらず、正統派で王道的なヒロインだった。しゃべり方とか声質とか割と普通っぽいのに自然と魅力にあふれていてとてもよかった。なんというか声の抑揚(?)がかわいい。感情を噛み締めつつ自然にしゃべっている感じがする。たぶん幅広い層にウケていると思う。前述の「ゲームカタログ」にもシリーズ中かなり人気のあるヒロインだと書かれており、最近になって続編の制作が発表されたのも納得できた。

そんなソフィーがアトリエの中で不思議なしゃべる本と出会うところから物語は始まる。プラフタと名乗ったその本は錬金術に詳しく、まだひよっこのソフィーは彼女に教えを乞う。そうやって錬金術を教わっていき、合成できるようになったレシピを彼女に書き込んでいくと(!)、彼女の失われていた記憶が徐々によみがえっていく。最終的に、数百年前に起きた出来事がもとで起こる災厄に立ち向かっていくことになる。

最初に仲間になるのは幼馴染のメガネ剣士モニカと八百屋の息子で植物マニアのふとっちょオスカー。モニカはテンプレ気味の世話焼き屋さんで毎週教会での祈りを欠かさないまじめな女性。口うるさいところはあるけれどなんだかんだでソフィーには甘い。オスカーは植物の声が聞こえるというオタクっぽい男の子で、かなり腹が出ていて最初こいついらんわーって思っていたけれど(!)、植物に目がない天真爛漫さと植物を大切に思う真摯さを持ったなかなかいいキャラだった。こいつの母親が気風のいい女性で街の八百屋を経営しており、オスカーも時々店番しろと言われているのだけどついつい忘れてしまったり逃げ出したりする。

例によって街の外には採取地が点在しており、2Dのワールドマップからすごろくみたいなマス目をとおって歩いていく。街や採取地に入ると3D画面になる。敵と接触するとこれまた3Dの戦闘画面になって戦う。

率直に言うと3D画面が同人レベルの出来栄えなのでここで一気に萎えた。ひどいと思う。本当に商業ソフトなのかと思った。インディのレベルにも達していない。歩いたり走ったりするモーションが直線的すぎる。えいっと杖をふるう動きもどこか固い。九千円出して一気買いしたことを後悔してしまった。自然な動きを作るにはそれなりにいろんなノウハウがあるはずなのだけどそういうのをあまり考えていないんだと思う。ほかにも、障害物の少し手前でぶつかったり、ドアが開かなかったり、ジャンプが妙にふわふわしていたりと、素人くさいところがずいぶんと目についた。モデリングはまあまあよくできていた。

このシリーズは基本的には街の外に出てアイテムを採取したり敵と戦って経験値をためて成長させ、街に帰ってきたらアイテムを合成していろんなアイテムを作って依頼に応えたり、街の人たちと会話してイベントを進めたりする。

以前同シリーズをプレイしていてなかなかキャラの友好度が上がらなかったとグチったことがあったけれど、今回はほどほどに街を回って会話をしているだけで大体まんべんなく友好度が上がり、ちょっと作業感はあったけれど順調にイベントの数々を見ることができた。ただしオスカーだけは例外で最後のほうまでなかなか友好度が上がらなかった。どうやらイベントの発生条件が特定の時間と場面に限られていて、自分はちょうどそのタイミングを逃していたらしかった。まあでもそのイベントを見ないとダメというほどではないし、オスカーのいいところが見られるちょっとしたイベント程度なので、それほど神経質にならずどうしても詰まったら攻略サイトでも見て条件を確認するといいと思う。エンディングが分岐するみたいなことも今回はなさそうだった(知らないだけ?)。

仲間はモニカとオスカーのほかにも、穏やかだけど憂いもある若い教会騎士ジュリオ、理想の人形を求めて旅をしているおっさん人形師フリッツ、自分の故郷を探しているロリ錬金術少女コルネリア、気難しい時計屋の青年ハロル、凄腕の仕立師の女性レオンなんかがいる。パーティは入れ替え制だけど今回は戦闘以外の好きな時に入れ替えられる。それぞれにサイドストーリーが用意されていて、どれも割といい話で仲間に愛着を持てた。コルちゃんことコルネリアの望郷の話が一番ジンときた。時計屋の青年ハロルが腐ってから前向きになっていく話も印象に残った。彼らに対する主人公ソフィーのやさしい距離感もよかったと思う。ソフィーは感応性が高く、すごく親身になって人と接するのでその関係がいとおしく感じた。

ほかにも仲間にはならないけれど教会の謎シスターのパネラ、ソフィーにとってはお姉さんのような存在の書店員エリーゼ、何かと世話になる丁寧な物腰のカフェ店主ホルストさんとハチャメチャ(死語)な看板娘テス、同年代の鍛冶師の若者ロジーなんかがいて、様々な冒険のサポートをしてくれる。

戦闘はターン制に近いけれど、素早さと行動の軽重によってターンの回ってくるタイミングが変わる。基本的には交互に殴り合うおなじみのシステムなのである意味安心して遊べるのだけど、前に述べたように同人ゲームくさい未熟さを感じてあまり素直に楽しめなかった。

物理攻撃とアイテム使用のほかにスキルを使うことができる。人によって使えるスキルが異なっていて、特殊な属性の攻撃をしたり防御力を上げたりHP回復や状態異常を直すなど一通り揃っていると思う。ちょっと面白いのは遅延攻撃というか敵を攻撃する装置を配置するみたいなスキルもあった。でも普段は正直ただ殴るほうが楽だった。序盤に物理攻撃が効きにくいゴースト系の敵にソフィーの攻撃スキルのほうがダメージを与えやすいので使っていたのと、ボス戦でプラフタだかコルネリアだかの全体にランダムな効果をもらたすスキルが強力なので使っていたぐらいだろうか。

アクションを起こすときに攻撃スタンスか防御スタンスか選ぶことができ、これによりたとえば敵が強力な攻撃を準備しているのが分かったときに守りを固めたり、こっちのほうが行動順が早いときは一気に畳みかけたりすることができる。でもこれもたまに使いどころがあるぐらいで普段は攻撃スタンスばかり使っていた。

戦闘のバランスが大味に感じた。街から離れた採取地ほど敵が強くなっていくのだけど、弱い敵ばかりのところにすごく強い敵がまじっていたりする。強さを事前に知ることはできないので色とかで判断するしかない。敵のシンボルに当たると戦闘が始まるエンカウントシステムを取っているので当たらなければ戦闘を回避できるのだけど、一度戦闘が始まると一撃で殺されたりするし、逃げようと思っても全然逃げられないので全滅するのがほとんどだった。全滅してもゲームオーバーにはならず、これまでの採取したカゴの中のアイテムの多くがなくなるだけでまた家から再スタートとなる。こういうカジュアル(?)なバランスだと考えれば納得できなくもないけれど、もうちょっとなんとかならなかったのかなと思う。

このゲーム、レベルに最大値があって経験値をためて成長させるには限界がある。そこで得意の錬金術を使って強いアイテムを作ることが必要となる。今回特に重要となるのは、雑魚敵限定でどんな敵も一撃で殺せる爆弾を作ること。クリティカル率を高めていくと作ることができる。自分は途中で攻略サイトを見るようになってこれを知ったのだけど、あるのとないのとでは戦闘が段違いになった。やばそうな敵が出たらこいつでほぼ倒せるし経験値もガッポリ手に入る。本来こういう爆弾をプレイヤーが自然な試行錯誤で手に入れられるようになると一番良いのだけど、普通にプレイしていたらなかなかここまで到達できないと思う。それともこのゲームと真剣に向き合って工夫して遊んでいれば自然と見つけられたんだろうか。自分の場合は途中で面倒くさくなってダメだった。

ほかに能力値を大幅にアップさせるアクセサリーや武器や防具を合成していくと戦闘がどんどん楽になっていく。前述の爆弾はボスには効かないのでボス戦は地道に戦うしかない。自分は光のエレメンタルだけはどうしても苦戦して何度も何度も挑戦してたまたま運よく一回勝てたけれど、それ以外はラスボス(表?)までどれもまったく苦労しなかった。

合成のシステムは材料を組み合わせるだけでなく、碁盤の目のような錬金釜の中に様々な形状の材料を配置していくパズルのようになっている。とはいっても厳密にはめ込んでいく必要はなく、材料同士が重なると前に置いた材料とそれによって得られた属性値が消えてしまうだけで基本的に好きなように材料を置いていける。最初法則性を理解するのに戸惑ったけれどやっていくうちになんとなく分かってきた。レシピごとに材料がおおまかに決まっていて、どんな種類の材料を選ぶかによって完成するアイテムの性質が変わる。今回は材料がパラメータ化されており、アイテムが獲得する性質の条件も数値化されているので、狙いすまして性質をつけることができる。これは自分からしたら仕組みが見えるところがとても分かりやすくていいと思ったのだけど、その代わりちょっとシステムが複雑になりすぎているようにも思った。そのせいか次作ではまたちょっと違った感じにシステムを洗練させているようだった。

本作は珍しく時間に追われる要素が少ないらしい。行動していると時間がどんどん流れていくので気にはなるのだけど、時間が流れても夜に店が閉まるとか噂の期間が過ぎしまうとかそのぐらいだった。依頼にも狩猟系は期限のあるものがあるけれど非常に長く取られているのでほとんどストレスを感じなかった。生産系の依頼にはまったく期限がないので完成するまで待ってくれる。ただし、引き受けないと次の依頼で上書きされてしまうし、一度に引き受けられる依頼の数も決まっている。今回も仲間からの依頼が並ぶことがあるけれど、別に引き受けなくても友好度なんていくらでも上がるのでどうにでもなった。

自分が買ったのはDXがついているいわゆる完全版なので、DLCの追加シナリオも組み込まれていて自然に始まった。最後のシナリオがソフィーの旅立ちまでを扱っており、ソフィーが生まれ育った街を旅立つ決心をするまでの心の揺れ動きがとても魅力的だった。でも旅立ちの準備をするまでで終わってしまう。クエストも残ったまま。本当にこれ以上なにもないのか思わずネットで検索してみたけどこういう造りらしい。ネット記事を書いていた人もモヤっとするみたいなことを書いていてまったく同感だった。なお次作の導入部でソフィーは旅の途中で新主人公の住む街を訪れるNPCとして登場する。

本シリーズの最大のウリであるアイテム合成のシステムを面倒臭いと思わず楽しむことができれば、そして比較的最近の作品のわりに稚拙な3D画面に目をつむれば、そこそこ魅力的な登場人物たちがそれなりに見ごたえのある話を繰り広げるJRPGの佳作だと思うので、ドラクエやペルソナシリーズあたりを遊びつくして他にやるゲームを探している人なら候補に入れておくといいと思う。
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