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はっぱ64
一卵性双生児の姉妹と、中学から同級の男・巽(たつみ)との、三角関係ラブコメ。

山本直樹のメジャーデビューかつ処女長編らしい。それまでは、アニメっぽい絵のエロマンガを確立したと言われるエロマンガ家だった。

題名の由来は、双子の姉妹の名前が諸葉(もろは)と一葉(ひとは)で、二人とも葉がつくので「葉っぱ」を九九の 8×8=64 に掛けたものだろう。

最初主人公の巽は、妹の一葉と婚約しており、巽を追って東京に状況する一葉が列車に乗るシーンから始まる。ところが巽の父親が病気ということで巽は地元に戻ってきてしまう。一葉は東京で大学生活を続けるが、巽の元には一葉とそっくりの姉・諸葉が来る。

一葉と諸葉の違いは、一葉の方がおとなしめで、諸葉の方が積極的。諸葉は冒頭で髪を切ってショートにするのだが、髪形によって二人の違いをはっきりとさせている。また、かつらというアイテムによって、時に見分けをつかなくさせる状況を作ることで、ストーリーに幅を持たせている。

こういうシチュエーションを盛り上げるには、巽があくまで一葉を愛する気持ちを貫こうとしていなければならないのだが、巽はそんなに固い決意は持っていない。諸葉でもいいかな、といった感じ。だから、諸葉には表立った悲壮感がない。また、一葉もそんなに真剣に巽との関係を考えているわけではなさそう。

作者の意図を深読みすると、一人の人を愛するなんていうのは本当は幻想なんじゃないの、と言っているようにみえる。

巽は姉妹二人とも好きだし、一葉を選んだことに特別な意味を感じていない。また、姉妹の方も巽を選んだ理由や感情について自分でうまく説明することができない。巽じゃなくてもいい、いややっぱ巽がいい、でもどうでもいいか、みたいなのの繰り返し。この人がいいのか他でもいいのか、ということもそんなに重要なことじゃないんだ、と言っているようにみえる。

とまあ、物語として非常に中途半端な印象が強いのだこの作品は。

前半を流し読みすると、愛を貫くことにそんなに執着しない主人公・巽の生ぬるい苦悩がダラダラ流れていくだけの凡作にしか読めない。

まあ、生ぬるいからこそ諸葉との Hシーンを描けるわけで、絵さえ描ければいいのか、それとも意図があるのかどうか、どちらともいえないところだ。

後半になって物語がどんどん進んでいくと、登場人物たちが色々な行動をとるようになるが、基本的な姿勢はそれほど変わっていない。細かい描写に所々でセンスが光るが、ドラマチックな展開や劇的なラストが待っているわけではない。

この作品は、愛とは人間とはこういうあやふやなものなんだ、というのを感覚的に書きつづった作品だと思う。おそらく物語の展開といったものもそんなに意図して組み立てていないだろう。思いつくままに書きつづったのだと思う。私はこの作品に出てくる登場人物たちにはリアリティを感じる。

不思議な味のある作品ではあるが、正直なところ私は別にこの作品を読んでも読まなくても良かったんじゃないかと思っている。この作品に 3,200円払ったのはどちらかというと損だったとさえ思う。おおかたの人も恐らくそう思うだろう。

この作品に感動できる人というのは、どこでどうやって作られたのか分からないような愛をとにかく固持しつづけて突き進んでいく人々の物語に疑問を持ち始めた人ぐらいだ。疑問を持たない人は、テレビドラマや少女マンガを見ていればいい。
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