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秒速5センチメートル
栃木に転校した少女のところへ、東京から雪で電車が遅れる中、様々な回想をしながら会いにいく少年の話が一本目。その少年が鹿児島に転校して高校生になったとき、遠い目をした少年の傍らに少女がいて、恋心を抱くのが二本目。大人になった少年が軽く昔のことを思い出すのが三本目。独白主体の連作短編アニメーション映画。

ネットで評判が良かったので、大きい声では言えないが違法動画を見てみた。とてもキレイな映像だった。

見終わったあとため息が出た。このため息の正体はなんだろう。感傷という便利な言葉があるけどそれでいいのだろうか。

主人公っぽい遠野貴樹という少年は、小学生の頃に出会った篠原明里という少女のことをいつまでも気に掛けている。この行き場のない想いをこの作品は丁寧に描いてみせている。誰でも少なからずこういう想いを抱えていると思う。

一話目、栃木に転校した少女に電車で会いに行くという行為は、あとに何も続かないことが分かっていた。でもそうせずにはいられなかった。二話目も届かない想いを抱える少女を執拗に描いている。

「好きなら伝えればいいじゃん」とか「距離は関係ないよ」なんて言ってしまえば終わる。本気でそう思ってかつ実践している人からすれば、この作品はとても馬鹿馬鹿しくて見ていられないと思う。

恋愛の文化に大なり小なり浸かっている私たちは、人を想う気持ちって素晴らしい、みたいな考え方を刷り込まれている。その中でもやはり叶わない想いほど強く感動を与えると思う。

恋愛の文化が行き過ぎるとみんな恋に恋して全然くっつかなくなるし、恋愛の文化が足りないと今度は恋なんてバカバカしい、そこに穴があって棒を突っ込むだけなんだから結婚なんてしなくていいじゃん、となって人類は滅びてしまう。

まあだから、特に私なんかは二話に出てくるサーファー少女がバッチリ好み過ぎておい少年なにやってるんだと言いたくなってしまうが、この作品はそういうことではないのだ。ストーリーがあってないがごときなのもどうでもいいことである。ちょっと三話目はやりすぎて鼻につくし、山崎まさよしの歌で締めるなんてあざとすぎるようにも思うけど、人の想いを見せることに特化した素晴らしい作品だと思う。
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