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トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 嘆きの星
遠い未来の地球、大災厄から立ち直った人類の前に、人間を捕食する吸血鬼と呼ばれる種族が現れ、世界を二分した。二大勢力の緩衝地帯に位置する自由都市イシュトヴァーンは、吸血鬼の侯爵ジュラが支配しており、人間の住人たちはパルチザンを組んで反抗していた。それぞれの勢力の思惑が交錯する中で、大きな戦いが起こる。

七年ぐらい前の角川スニーカー文庫のライトノベル。12年間で三人しか受賞していない同レーベルの大賞を受けた吉田直。

世界設定が凝っている。教会の力が強かった頃の中世ヨーロッパを擬している。人類の敵である吸血鬼が治める「帝国」はオスマン・トルコそのものじゃないだろうか。キリスト教世界から見たらこの創造世界は結構リアルというか皮肉が効きすぎていて笑えてくる。

まず最初に世界設定の説明がてら本編とは関係ないエピソードが出てくる。人類を捕食する吸血鬼。それに吸血鬼を捕食する謎の存在。

本編は人が良くて天然気味のアベル・ナイトロード神父が自由都市イシュトヴァーンに赴任してくるところから始まる。街を守っているはずの市警軍から手荒い歓迎を受けるが、事実上の街の支配者である吸血鬼ジュラから丁寧な対応をされ、屋敷への招待を受ける。神父の運命はどうなるのか。

とまあそんなところなのだけど、半分ネタバレながら言ってしまうとこのアベル神父こそが当然主役であり、強力な力を持ったエージェントである。ボケているように見えて実はすごく強い、という黄金パターンをそのまま踏襲している。ちょっとうんざりしなくもないが、それほど嫌味がないよう抑えられてはいる。

物語はきっちり作られている。最後が出来すぎなのを除けばよく出来たプロットだった。登場人物の造形も文句なし。…のはずなのだけど、どうしてそんなに面白くないのだろう。

多分一番の理由は登場人物に思い入れできないことだろう。アベル神父や少女エステルに魅力を感じない。うーん。でもマンガだったら違ってたかもしれないなあ。魅力的な絵で物語が語られていたら。ライトノベルだから挿絵で想像するしかないんだろうか。

いや単純に絵の問題じゃなくて、やっぱり文章的に人物の魅力に乏しいように思う。アベル神父には人間味を感じなかった。少女エステルは出会いの展開からベタで、以降個性も感じないし、なぜ大役を任されているのか説得力がなかった。ディートリッヒなんて途中まで存在感なかったし、最後のアレも馬鹿馬鹿しさしか感じなかった。

この人は世界や人物や物語の構築は素晴らしいのだけど、キャラを動かすのに心がこもっていないというか、形から入りすぎているように思う。
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