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ローゼンメイデン 5巻まで
ひきこもりでチビでメガネの少年が、趣味の通販クーリングオフをしていると、精巧に出来た西洋のアンティークドールが送られてきた。ネジをまくと高飛車な態度で話しかけてきて一緒に生活するようになり、人形たちの戦いに巻き込まれていくうちに、少年の一度閉ざされた心が解きほぐされていく。

二人組の女性作家によるマンガで、外務大臣・麻生太郎が空港のVIPルームで読んでいたことで有名になった作品。この件で麻生太郎はインターネット上の巨大掲示板コミュニティ・2ちゃんねるで「神(すごい人の意か)」と祭り上げられた。

この作品の魅力は、個性豊かでかわいい西洋のアンティークドールが命を持ってしゃべったり動いたりして主人公たちとやりとりをすることだろう。高飛車の「真紅」は主人公の少年を下僕扱いし、体が小さいのでそれを恥ながら少年にドアをあけさせたり高いところのものを取らせたりするところがかわいい。無邪気で幼い性格をした「雛苺」、生意気だけど双子の姉妹人形にもたれて依存し合う関係の「翠星石」「蒼星石」など。

と説明すると単なるオタク向けの萌え作品のように思えるだろう。それはその通りだ。この作品がユニークなのは、どんなに生意気だけどしょせん人形、という実にオタク向けのあざとい設定があること。同年代の女に向き合えないオタクのうんたらかんたら、とつまらないことを言うつもりはないのだが、狙いどころが実にいい。

さてストーリーのほうはというと、一区切りつくまではとりあえず読んでやろうと買い進めてみたものの、5巻まで読んでも全然進んだ気がしなかった。少年の心にはまだ目立った変化がないどころか、抜け出せそうになってきたところでまた底に落とされる。この落とされる描写は良かった。でも主人公の少年がなぜそれまで快方に向かっていたのか、読んでいてよく分からなかった。

ついでに言うと、なぜ少年がひきこもりになったのかが語られるのが遅すぎる上に、そんなに説得力があるとは思えなかった。ある人物の善意のつもりの行動が少年を追い詰めていると描写されているのだが、そのことの持つ意味が語られないので作者が何を言いたいのか分からない。少年の進むべき道も示されない。

作者は単に人間と人形のからみを描きたいだけなんじゃないかと思える。それか、単に技量がなくて物語を組み立てられないのか。双子の人形のマスターとなった人間のエピソードを見ると、この作者の話の組み立ての下手さを強く感じる。それ以前になぜどうやって蒼星石がああなったのか、ページを何度見返しても分からなかった。

あとがきというかおまけマンガに作者のPEACH-PITというユニット(二人組)の創作方法が描かれていたのだが、萌え好きの二人が互いに「ここはこうしたらいいんじゃない」みたいにオタク好みにストーリーをこねくりまわしてそれっぽくしていっているさまを勝手に想像してしまう。

と散々こき下ろしてきたが、ファンタジー作品としてみればそれなりに出来が良いような気もする。ここで言うファンタジーとは要はピーターパンとかだ。ピーターパンに人間ドラマなんて求めないように、登場人物たちが笑って泣いて戦ってれば読者は楽しめる。私も楽しんだ。どんな作品にも完璧を求めることはないし、これはこれで楽しいんだからいいんじゃないだろうか。ちょっと思わせぶりで出来の悪い人間ドラマがあるのが気になるのには目をつぶるとして。

作画はそれほど完成度は高くないもののセンスと魅力のある概して素晴らしいものだが、ボケ絵が適当すぎて質が悪いのが私としては気に入らなかった。特に私が最近読んだ少女漫画のボケ絵の素晴らしさと比べてしまうと、ちょっと怒りたくもなる。そこらの小学生が描くような、下手うまでもなんでもない絵にしか見えない。
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