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銀河英雄伝説 我が征くは星の大海
宇宙の覇権を掛けて専制君主の帝国と堕落した民主主義の同盟が戦争する中で、政治家や軍人といった英雄の活躍を描いた作品として80年代に大ヒットし、今も根強い人気を誇る一大スペースオペラ小説のアニメ化第一弾。

美人の姉弟とその隣人の少年という閉じられた甘美な世界に生きていた主人公らが、帝国の皇帝の力により姉を奪われ、姉を奪い返すために宇宙を手に入れようと願う、ちょっと古典的な甘酸っぱい成長と痛快な立身出世の物語が一つ。若いのに引退のことばかり考えている厭世的な若手有望士官が、周囲の人々の支えと後押しで嫌々ながら天才的な戦略を披露し、堕落した民主主義の原則に縛られつつ英雄に祭り上げられていく物語が一つ。

本当はもっと原作について語りたいのだが、今回は脚本家・首藤剛志が手がけたというアニメ版を視聴したのでそれについて書きたい。

結論から言うと正直この作品にはガッカリした。確かに分かりやすい作品には仕上がっていると思う。でも原作のファンは納得しなかっただろう。その最大の理由は、脚本家・首藤剛志が自ら語るようにこの作品を相対する司令官同士の心理戦と心の通い合いみたいなものに絞って組み立てたからだと思う。原作を知る人々からすると、この作品はとてもそんな枠には収まらないからだ。

戦闘シーンでボレロを丸々流すという壮挙を成し遂げたことでも知られているようだが、この使い方もそんなに金を掛けるほどの必然性があったとも思えない。なにしろ当時ギリギリ著作権の切れていなかったラヴェルの楽曲をわざわざオーケストラでこの作品のために録音したというから驚きだ。この試み自体には拍手を送りたいのだが、それが一体どの程度この作品の要素となっているのか。

一方、続いて本作の続編「新たなる戦いの序曲」も視聴したのだが、こっちのほうが断然良かった。限られた時間でちゃんとそれぞれの主人公とその周りの世界が描かれている。特に若手士官ヤンのほうは、友人と女性とで一つの素晴らしい物語があり(これはこれでパターンなのだろうが微妙な機微の描写が素晴らしい)、戦争の無情さも描かれていて涙を誘う。

そんな優れた続編と比べて、この作品は単品としては完成されていると思う。確かに原作はラインハルトとヤンの戦いが魅力の一つだから、そこに絞って割り切ったのは手堅い仕事だと思う。原作を知らない人も楽しめて新たなファンも作ったのかもしれない。だからこの作品は多分成功だと思う。でも、セリフに違和感があって自分は楽しめなかった。

で、この作品を基点になんと百話を越えるアニメシリーズがコツコツとテレビや他業界スポンサーの力を借りずに作られていくわけで、原作に忠実なこれらのアニメシリーズと原作は本当に素晴らしい奇跡のような作品だと私は思う。アメリカのアニメサイトでもごく限られた人々がこのシリーズを絶賛しているが、アメリカはもとより日本でもまだまだ作品の知名度が限られているのはとても残念なことである。この作品と比べるとスターウォーズなんて子供のお遊戯にしか見えない。スタートレックと比べるにしてもちょっと違うしなあ。
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