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転生したら平民でした。~生活水準に耐えられないので貴族を目指します~ コミカライズ版 5巻まで
中世ヨーロッパがベースのファンタジー風の異世界に日本の男子大学生が8歳のレオン少年として転生したが、食堂を営んでいた庶民の一家に生まれていて食べ物とかトイレとかいろいろ不便だったので、生まれ持った魔力や知識により貴族に成り上がろうとする。小説投稿サイトに書かれた作品が原作のコミカライズ版。

題に貴族を目指すとあったので、これまでの異世界転生ものとは違った展開が楽しめるかと思って読んでみたら、普通に魔力や知識で無双する話だった。まあまあおもしろかった。

なんとか不便な生活から抜け出す糸口はないかと街を散策していたら、魔法具を作っている工房を見つける。そこのマルセルじいさんからいろいろ教えてもらいつつ、魔法具のアイデアを買ってくれと持ちかける。アイデアを売る発想ってそんなに簡単に出てくるものなんだろうか。レオン少年って転生前はまだ社会に出ていなかったのに。

一方でレオン少年は見知らぬ他人に対してどうやら自然と敬語をしゃべっていたようで、それを怪しんだ通りがかりの剣士フレデリックから目を付けられる。この世界では普通の庶民は敬語なんて身に着けられないからだという。レオン少年は成り上がろうとする野心家ではなくて謙虚でかわいげがある感じ。

まあそんなこんなでちょっとネタバレになるけれど、ある貴族の一家に仕えることを条件に貴族の一員になるべく学校へ通わせてもらえることになる。既刊ではまだ入学してないけど。

これまで読んできた異世界転生ものの中では、ちょっと甘めの世界観だと思う。魔法具工房のマルセルじいさんは、年で枯れているのかまだ子供のレオン少年を最初からかわいがっていて銀行口座まで自腹で開いてくれる。力を持っていることを知られると危険だという心配はしているのだけど、実際にそういう場面にはいまのところ遭遇しなかった。

レオン少年が病気を治すこともできることがわかり、貴族一家の重要な奉公人のほかに大事な人の命を救う展開があるのだけど、正直ちょっと安易に思えてしまった。

人間の国に魔物たちが浸食してきているという世界設定があって、それを救ってくれる救世主みたいな存在が求められていて、レオン少年がその救世主なんじゃないかと思われている。どうやらレオン少年の実際の転生の理由もそれなんだけど、神とのつながりが事故で切れちゃっているという設定になっていて、自分の存在の意味と役割を彼はまだ知らない。

絵はレオン少年や妹ちゃんや王女様なんかかわいいし年配者の描写も渋くてよかったんだけど、年頃の萌え系の女の子が出てこなかった。貴族の跡継ぎの男の子とかひたむきな使用人の男の子とか、少年系の登場人物が目立つので女性向けの作品なのかもしれない。

というわけで、自分はこういうトントン拍子に進んでいく作品に少々物足りなさを感じてしまったのだけど、別に興ざめするほどではなかったので普通に楽しめはした。割と思い通りに順調に進んでいく話が好きな人にはいいと思う。
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