あずまんが大王 |
女子学生と女教師たちを中心にした、高校での日常生活の話。基本的には、ほのぼのとした 4コママンガ。
まず絵がかわいい。最初、ゆかり先生が出てくるのだが、どのキャラクターも目の形がほとんど同じなので混乱する。だが、慣れてくると髪形で見分けがつく。どのキャラクターも個性的なので、読んでいくとその魅力にとりつかれていくだろう。
この作品はキャラクターものである。個性的なキャラクターたちがからむから面白い。だから、この作品の説明は、キャラクターの説明になる。
私はどのキャラクターも好きだが、特に榊さんが好きだ。背が高くて運動が得意だが、無口で、かわいいもの特にネコが好き。道ばたでネコにあうと近づいていくが、いつも噛まれてしまう。このキャラクターのエピソードは独白っぽいのだが、いがらしみきお「ぼのぼの」の主人公ぼのぼのを思わせる。
ゆかり先生やともちゃんの暴走も面白い。ハイテンションだと読者がついてこれなくなってあきれてしまうことが多いのだが、うまいことシラケた雰囲気を出しているので非常に好ましい印象が残る。
男が描いているとは思えないほど中性的な雰囲気が漂っているのは、ある種奇跡的と思える。絵柄はどちらかというとオタク系なのだが、作品にオタク臭さがほとんどない。確かにキャラは「萌え」なのだが、メジャーっぽい堂々としたたたずまいで、アニメ版が NHK で放映されても違和感はないのではないかと思えるほどである。
ちなみに、今年の四月からテレビ東京系列で深夜月曜にアニメ版が放映されている。私は第一回だけ観て「まああえて毎週見るほどではないな」と思ってそれ以降観ていなかったのだが、原作マンガを読んでからはもう一回アニメ版を観てみたいと思うようになった。アニメ版もかなりよく出来ている。マンガがアニメ化されると大抵は劣化するのだが、この作品のアニメ化は実にうまい。特に、「大阪」の描きかたは、声優の良さと演出があってアニメ版の方が素晴らしかった。「大阪」とは、大阪から引っ越してきた天然ボケのおとなしい関西弁をしゃべる女の子である。ファン投票一位だそうだ。
誰かがどこかで解説していたが、再読性にも優れている。つい二三日前に初読したのに、もう通しで再読可能だったほどである。かといって中身が濃いというわけではないのだが、澄みとおった作品だからだろう。
唯一の難点は、表紙が表紙なので、人によっては書店で買いにくいこと、表紙で敬遠してしまう人がいることだろうか。
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