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ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S
16歳になり成人の儀をすることになった青年が、自分は勇者の生まれ変わりだと告げられ、亡き養父の言いつけに従って城に行くが、王様から悪魔の子だと言われ追われる身となる。青年のもとに仲間が集い、勇者を継いで魔王を倒すため旅をする。日本にロールプレイングゲームを根付かせた有名シリーズの第11弾の完全版(以下11S)。

いずれやるつもりだったけれど発売元の社長だったかが可能な限り値段を高くして売るという発言をしていたのが気になったので完全版かつ廉価版が出るのを待ってから買って遊んだ。一万円近い価格が廉価版により半額になり、つい最近はさらにそこから三割引きで大体三千五百円ぐらいになった。自分は別にすごくこのゲームがやりたかったわけではないので半額のときに買ったけど、やりたい度合いにあわせて好きな値段で買えばいいと思う。まあまあ面白かった。

このいわゆる11Sは初代ドラゴンクエストから始まるナンバータイトルの正当な続編なのだけど、このシリーズはその時もっとも売れているハードウェアで出すという方針があるほか、オンラインゲームまでX(以下10)として出してしまったためゲームシステムやグラフィックスもコロコロ変わっている。キャラクターや演出的には据え置き機のプレイステーション2用として出たVIII(以下8)に近いと思う。鳥山明(のプロダクション?)によるグラフィックスが前面に出ており、こうあるべきドラゴンクエストの形が正当に進化した感じがする。

年をとってくるとゲームをするのが面倒になるのか積みゲー(買うだけ買って遊ばないゲーム)が増えてきたので、確実に楽しめそうなゲームとしてこのゲームを選んだのだけど、正直序盤でいきなりやる気が失せた。フィールド画面がもっさりしているように感じたほか、ちょっと陳腐なストーリー展開、これといって面白みのないコマンド式ターン制バトル。ゲームを遊んでいるときのワクワク感がほとんどなかった。

その一方で要素要素はそこそこ良く出来ているなあという上から目線な感想を持った。絶妙にデフォルメされた3Dグラフィックスでできたフィールド画面や敵。どこか懐かしさを感じるとても完成度の高い音楽。最初に訪れることになるデルカダール城下にスラム街があるほか、牢獄や洞窟や崖上といった場面に次々と切り替わる。ほぼフルボイスで演技する豪華な声優陣。スキルマップでキャラクターを成長させていくシステム。最高のスタッフとキャストが最高のアシストをしたんだと思った。

でも自分が最初に萎えたのは、双賢の姉妹ベロニカとセーニャがシンクロして陳腐なセリフを言ったシーンだった。8に出てきた古臭い姫のことを思い出した。セーニャのほうはともかく、ベロニカのほうはキャラ的にあんな陳腐なことはしないと思う。ドラゴンクエストは堀井雄二の作品である以上もうこの点はあきらめるしかないんだろうなあ。もう後進に任せて監修だけしたほうがいいんじゃないかと思う。

序盤の目まぐるしい展開(?)を抜けたあといきなり「ジパング」と「アッサラーム(砂漠の国)」みたいな国に行くのもどうかと思う。こういう国々は中盤以降にたどり着くからこそワクワクするのに、ストーリー的には追われる身の中でのんきにクエストなんてやってていいのかと思ってしまうし、マップ的に一本道なのでとにかくここを進めるしかないんだというやらされている感がぬぐえなかった。

次にテンプレオカマキャラのシルビアがキツかった。もう食傷気味でオカマってだけでは笑えないし、逆にシリアスなことを言われてもさめてしまう。まあでもゲームを進めていくうちにだんだん気にならなくなり、みんなを励ますいいキャラとしてなじんできて最終的にはちょっと好きになれた。小野坂昌也の奇をてらわないベテランの演技が良かったと思う。

船が手に入ってからワールドマップを意識するようになるのだけど、相変わらずほぼ一本道だし、最初は内海しか行けないし、外海まで出ても世界が狭すぎるように感じた。

戦闘では自分はほぼ終始「バッチリがんばれ」だけで進めた。いちいちコマンドを選ぶのが面倒くさいから。ボス戦でどうしても勝てなくて明らかに仲間がヘンな行動を取っているときだけ「めいれいさせろ」にした。攻撃に専念させたいキャラには「ガンガンいこうぜ」、中途半端に弱い攻撃なんてさせずに回復だけやらせたいキャラには「いのちをだいじに」みたいな。今回のAIは基本的にとても優秀なのでまったくストレスは感じなかった。ゲームバランスは非常によくできていて、ボス戦では適度にスリリングな戦いを楽しめるのだけど、これで本当に楽しいのかという疑問も持った。この件に関しては自分の責任も大きいと思う。でも国民的なゲームでどんな人でも楽しめるようにするとこうならざるをえないんだろうなと思った。

敵を倒すとその空いたスペースを埋めるようヨタヨタと敵が移動するのがこっけいだった。人によってはこの動きがかわいいと思うのかもしれないけれど、自分は毎回なんか気になった。

10の要素を引き継いで鍛冶のシステムがある。これにより極端な話、武器屋や防具屋で装備を買うことがあまりなくなった。鍛冶のシステムは頭を使うミニゲームになっていて結構楽しい。でもお金をためていい装備を買う楽しみはほぼなくなった。

ラスボスを倒してエンディングロールが流れたあとに、さらに裏ボスへと挑むシナリオが用意されている。サブタイトルの「過ぎ去りし時を求めて」がそれをほのめかしている。ダンジョンは使いまわしだけどシナリオは良かった。もうこれは遊び足りない人のための追加シナリオというよりは色んなものを使いまわすための言い訳なんじゃないかとも思った。もし仮にあそこでいったんエンディングロールが流れていなかったら、使いまわしを非難する声が上がったと思う(笑)。あと最後に主人公が勇者の剣をあの人に渡す演出がとてもよかった。悲しい物語を描いてプレイヤーを感動(?)させたあとでハッピーエンドも描いてみせるという欲張りな仕組みが憎い。

でも完全版(11S)で追加された挿話が本当にいまいちだった。これのせいで自分はゲームを途中で投げ出す可能性がわずかながらあった。お蔵入りにする勇気が必要だったと思う。百万人の時間を無駄にした(決めつけ)。マルティナ編はまあまあ良かった。

ヨッチ族の村で歴代シリーズの後付け伏線的なミニエピソードが楽しめるようになっている。自分は全シリーズ遊んでいるけれど内容なんてそこまでよく覚えていないし、覚えていても懐かしい感じはしなかった。ああこういう話もあったなぐらいで、やっつけ的な感じがしてあまりいい印象を持てなかった。でも職場の先輩は面白かったと言っていたので、自分みたいな斜に構えている人間でなければそれなりに楽しめるのかもしれない。

裏ボスを倒したあとでヨッチ族の村の中にさらに強いボスがいるのだけど、さすがにそこまでやる気にはなれなかった。でも学生の頃だったらやってたかも。

ヨッチ族の村のクエストに出てくる中ボスと、使いまわしダンジョンの各所にいる中ボスの難易度にバラつきがあって、強すぎたり弱すぎたりして攻略の順番に困った。道中の敵の強さで判断できればよかったのだけど、ボスまで行ってみて強すぎて敗退したり余裕過ぎたりしたことが何度もあった。強力な麻痺とか行動不能とか際限なく敵を呼ぶ敵とかいてイライラしたけれど、装備を工夫したりちょっとレベルを上げるだけでなんとかなった。

音楽が本当に素晴らしい。すぎやまこういちが今回どれだけ関わっているのか知らないけれど、過去のシリーズで使われた名曲の数々が原曲の魅力そのままに二割増しぐらいになっている。特に折り返し地点を過ぎてどんよりした空気になる世界のフィールド音楽が重厚かつキャッチーで良かった。でも自分が一番好きなのは今作オリジナル(?)のボス戦の曲で、溜めの効いた金管楽器の掛け合いが最高だった。自分はオーケストラの中で金管楽器がそんなに好きじゃなかったんだけど、全般的にトランペットとトロンボーンの違いがすごく分かりやすくて聴きごたえがあった。競馬のミニゲームのファンファーレはマジ本物だった(同じ作者だから)。その反面、弦楽器が前に出てくる曲はそんなになかったと思う。ほこらの音楽とか切々とした悲しい曲が中心だった。そうそう、なにげに仲間が加わるときの音楽がちょっとした演出もあいまってすごくよかった。

古き良きコマンド式ターン制RPGをやりたい人にとっては素晴らしい作品だと思う。ちょっとシナリオが陳腐なところもあったけれど、大きくガッカリさせられることはなかったし、味わいのあるところもそこかしこにあった。アクションゲームが苦手な人にはいいと思う。
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