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Aventho wired
ダイナミック型ヘッドホンを世界で初めて開発したドイツの音響機器メーカー・ベイヤーダイナミックによるオンイヤータイプのポータブル用ヘッドホンの有線モデル。折りたためる携帯性を持ちながら、同社の長年の技術と強力な磁力によりきめ細かな音を出す。

同社のフラッグシップモデルT1を持っている自分は、それに近い音を外で聴けないものかと思っていたのだけど、同社のポータブル用ヘッドホンであるT50pやT51pやDT1350はマニアの間であまり評判が良くなかったので手を出さなかった。しかしそれらの事実上の後継モデルであるこのAventhoはなかなか評判がよく、2019年春のヘッドホン祭りで試聴してみたところ実際良かったので、値段が落ちてきたら検討しようと思っていたところ、意外と早くアメリカのアマゾンで199ドルで投げ売りされだしたので買ってしまった。配送料をケチった割に十日ぐらいで届いた。

有線モデル(wired)と無線モデル(wireless)があり、両方とも試聴してみたのだけど、評判どおり有線モデルであるwiredのほうが良かった。無線モデルだと同社のサウンドの特徴であるザクザクと武骨に鳴る感じがちょっと甘く感じた。まあwiredの試聴のときCOWON PLENUE Sというハイエンドプレイヤーで聴いたので、いいプレイヤーで聴いたらそりゃ有線のほうがいい音が出るのは当然か。でも自分は無線にもそれほど抵抗はないので、無線のほうが安くなっていたら多分無線のほうを買っていたと思う。無線でも十分beyerdynamicらしい音が出ていたし、スマホとかでもあまり変わらずいい音で鳴り、コードにわずらわされることのない快適さが得られるだろうから。ただ、wirelessのほうはアプリと機能の評判があまりよくなかった。

wiredのライバルは多分同じオンイヤータイプのsennheiser HD25だと思う。HD25が中低域に厚いポータブル特化のバランスに対して、このAventhoはフラットでとても自然な音だった。HD25のバランスはロックやポップスを外で気持ちよく聴くには良かったのだけど、ひさびさに聴いてみると以前はこの音で満足していたのかと思うぐらいにAventhoのバランスの良さを感じた。

同社の初代T1はいい音ながら高域が刺さると言われていたけれど、このAventhoは全然刺さらない。感覚的に言うと音が丸まっている感じ。憶測で言うと、多分超高域はカットしてハウジングの鳴りで補っているんだと思う。聴いていて音に不快な成分が少ないのはいいのだけど、なんだか情報量が少なくなっている気がする。B&W P7 Wirelessのチューニングにちょっと似ているなと思った。P7のほうはチューニングがうまいせいかそれほど情報量の欠落を感じずにトータルバランスで気持ちよく聴けるように思ったのに対して、Aventhoのほうが情報量は上だと思うけれど欠落具合がやや不自然な感じがした。具体的に言うと、高域のストリングスとか擦過音が妙にわざとらしくて不自然な感じがする。正直、刺さってもいいから中途半端なチューニングにはしてほしくなかった。それこそ初代T1やT5p 2ndをそのまま小さくしたような感じにしてくれたらよかったのに。ってそれがDT1350であまり売れなかったから方向性を変えたということなのだろうか。

同じテスラテクノロジを使っているというイヤホンのT8ie mk2も持っているのだけど、多分総合的な音の良さだったらT8ie mk2のほうが上だと思う。Aventhoが勝っているのは低域の量感とあまりプレイヤーを選ばない聴きやすさと装着性だろうか。T8ie mk2は良くも悪くもプレーンなのに対して、Aventhoはリスニング用に少し音に色付けがなされていると思う。音質のあまりよくないソースでもそれなりに聴ける。また、なんだかんだでヘッドホンは頭を挟むだけで装着できるのが楽でいい。イヤホンのシュア掛けは面倒だし歩いていると耳からズレやすい。

Aventhoの重要な欠点として、オンイヤー型つまり耳に押し付けるタイプのため、長時間つけていると耳が痛くなる。そういえばHD25をずっと愛用していたときにも同じことを思ったのだった。短い時間試聴したぐらいではなんともなかったので忘れていた。通勤中とか片道一時間程度だとなんともないけれど、外出時に数時間ずっとつけていると耳が痛くなってくるので、ちょっとずらして痛みをやわらげるようにするとまたしばらく大丈夫になる。でもそのうちまた痛くなってくるのでこれを繰り返すことになる。

折りたたむにはヘッドバンドを縮める必要があり面倒なので自分は普段折りたたまない。ヘッドパッドがなるべく痛まないよう左右のイヤーカップが縦に平行にあわさるように置いておく。

造りはいいような悪いような。トヨタやユニクロみたいな、造りはしっかりしているけれど素材や仕上げが妙にチャチいような感じがする。デザイン自体も素晴らしいと思うけれど、思ったほど満足感を得られなかった。イヤーカップがHD25と比べて薄めなのはデザイン的にとてもいいと思う。HD25はイヤーカップが分厚過ぎて装着すると妙に出っ張って不格好になるのに対して、Aventhoはマンガに出てくるようなクールなヘッドホンのシルエットになると思う。

付属ケーブルがいまいちだとネットで(というかSandal Audioさんで)読んだのでまず別売りの純正ケーブルを見てみたのだけど、5ちゃんねるで聴いてみたら太くてかさばるらしいのでやめた。それに値段が高すぎる。ヨドバシドットコムだと一万六千円もする。多分元々T1 2ndのケーブルだからだと思う。ソニーのZ7Rとか最近のHIFIMANなんかと同じく左右それぞれ3.5mmのプラグを挿すようになっているため色々使えるようだけど一万円以下でよさげのを探してもどれもいまいちな感じがした。

ヘッドホン用のアクセサリってヘッドホン本体の値段に比例して値段が上がるので、安いヘッドホン用のアクセサリは安く手に入るのだけど、高いヘッドホン用のアクセサリはこんなんで数千円も取るのかと思うようなものばかりで(特にイヤーパッドやヘッドパッド)、正直そのせいで自分はヘッドホンよりも消耗品の安いイヤホンを選ぶ傾向にある。アクセサリでボッたくられそうだから一部の比較的良心的で有名なメーカーのヘッドホンしか買う気になれない。ちなみにヘッドホン本体がボッたくりな値段のUltrasoneはアクセサリに関しては意外と安かったけれど、粘着テープで取り付ける小さなヘッドパッドが千円近くした。

Fiio X7 mk2 + AM5でも聴いてみたところ、パワフルに鳴ってくれたのは良かったけれど、やはり独特のチューニングにより音が少し丸まっている感じがした。COWON PLENUE Sよりもザクザク感が上がり、音抜けの悪さが緩和されたけれど、それ以外の音の繊細さとか響きなんかではPLENUE Sのほうが勝っていた。ただ、フラットに近いのはX7 mk2の方だと思うし、それほどの差は感じなかった。元々ヘッドホン用だというAM5がようやく自分の手持ちの中で真価を発揮できたように思った。

正直こいつを他の人に勧めたいかというと微妙だと思う。家電量販店では五万円台の値段がついている。アメリカのアマゾンならいまだと配送料込みで二万六千円ぐらいで買えるけれど、それでもまだ微妙。よりフラットなポータブル用の有線ヘッドホンを欲しがる需要が一部の人にしかないから。有線だったら自分は値段もこなれているsennheiser HD25を勧めるし、無線だったらSONY MDR-1000XM3あたりがいいと思う。外ではなく家だけで使うならB&W P7 Wirelessを勧める。

ただ、純粋にスペックは高く、自分みたいに十万円以上するイヤホンを当たり前のように使っている人間でもそれほど気にせず楽しめる程度に音がいい。高級なデジタルオーディオプレイヤーに応えてくれるハイファイさは持っていると思う。正直HD25をPLENUE Sで聴きたいとは思わない。夏場は耳が蒸れてあまり長時間イヤホンをつけていると汗も出てきて不快だし耳にも悪いので、持ち運びに便利な小さなヘッドホンとしてこいつを選ぶのも悪くないと思う。
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