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MT-PRO1100W
自作マシン用アルミケースで一番有名なメーカー、星野金属工業が製造して SOLDAM が売り出しているアルミケースの一つ。ミドルタワーに位置づけられるがわりと大型のケース。

自作マシン用のケースとして、同社が口火を切ったアルミを使ったケースは、いまでも高級感あふれるパーツとしてそれなりの人気があるが、後発のメーカーに押され気味になってきているように思う。

私は同社のアルミケースを三つももっている。この MT-PRO1100W は三台目である。どれも割高だか、これといった不満もなく、その性能に満足して使ってきた。しかし今回は重大な欠陥が二つあることを報告しなければならない。

一つ目は、電源を上下さかさまにつけるようになっている点である。実のところ電源をどう付けるのかについて、正しいきまりは無いのかもしれないが、標準的な慣習として向きが決まっていると言ってよい状況である。その標準的な向きに従って、電源を作るメーカーはファンの位置を設計している。シングルファンの電源ならばなんら問題はないが、デュアルファンつまり二つ目のファンのついたやや高級な電源をつける際に、この上下さかさまというのは致命的な欠陥となる。

聞いた話によると、SOLDAM はこの事実上の欠陥を認めておらず、つまらない言い訳をしてお茶を濁しているようである。しかし、これ以降のケースでは業界標準どおりに設計するようになったようなのだから、やはりユーザーからの声は無視できなかったとみえる。やや遅すぎる反応ではあるが、近年の電源ブームの前まではほとんどの人がシングルファンの電源を使っていたことを考えれば仕方がないのかもしれない。

今回デュアルファンの電源に交換した私は、仕方がないのでネジで電源をケースにとめるのをあきらめ、上下をむりやり普通にとりつけてみた。一応大きな問題はないみたいだが、明らかに排気ファンの効率が落ちている。

二つ目は、前面の吸気ファンのところにまったく風の通り道が用意されていない点である。

私は、一世代前の MT-PRO1000 も所持しているので、二つ横に並べて比較できるのだが、この MT-PRO1000 は前面ファンの風の通り道をまがりなりにも考慮していたようで、ちゃんと前面下部にスペースがあいていて、風が通るようになっている。しかし、MT-PRO1100 ではまったく風の通り道がないため、前面ファンが吸気にならない。それに加え、背面のファンと電源ファンが本来排気する分の風量を吸気できていないため、排気にまで負担が掛かっている。事実、前面パネルを少しあけて隙間を作ると、あきらかに排気音に変化が見られ、内部の温度が 4度くらい下がったのが確認できた。できた隙間に手をあてると、はっきりと空気が流れ込んでいるのが分かった。

アルミケースは冷却に強いというのもある種神話のようなものなので、あまり鵜呑みにしないほうがよい。

というわけで、このケースはあまりすごいシステムに使うべきではない。デュアルファンの電源がちゃんと使えないのと、排気ファンの位置がやや下なのとあわせると、そんなに冷却性能があるわけではないと結論せざるをえない。前面に吸気ファンをとりつける場所はあるが事実上つけても意味がないあるいは隙間をあけるしかない。加えて、付属してきた電源 Varius335 は 5V が弱めなので、大出力の CPU を使うには厳しい。なので、Intel 製の CPU を使った安定マシンを静音で作るというのが正しい使いかたなのだろう。私は今回、デュアル Athlon マシンを無理やりこのケースに入れてみて、そう結論づけることしかできなかった。

売り出し当初の小売り価格が三万五千円くらいのケースなのだから、かなり発熱があるシステムを組んでも大丈夫だろう、という見方をするのはユーザー側の勘違いという面もある。MT-PRO1100 は、SOLDAM のラインナップ中ではミドルクラスにあたるので、ミドルクラスはミドルクラスだと割り切って使うべきなのだろうか。そのわりには、Power LED のほかに HDD 用などで四つも LED が使えたり、いかにもサーバっぽい立派な外見がある。

過剰な期待を掛けなければ、期待どおりの製品だとは思う。しかし、この高い金額を払ったからには、それなりの期待をしてはいけないものだろうか。

ちなみにこのシリーズ、2002年5月31日で生産・受注を終了するそうである。電源は Varius350 と多少よくなってはいる。以前の Varius335 は NMB の OEM で、質はいいがパワーが弱かったのだが、Varius350 は HEC の OEM でパワーは強力である(最大総合出力425W)。それで値段が 19,800円なのだから、満足感は高いと思う。29,800円で初期の MT-PRO1100 を買った人間としては、多少イヤな感じがしなくはないが、積極的ではないにせよ薦めてもいい製品である。
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