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イスラエルの危機 戦前の日本を想起
最近のパレスチナ情勢でのイスラエルが、大日本帝国崩壊の過程を思わせる道をたどっているのではないか、という極めて大胆だがもっともな指摘。

著者は元駐タイ大使の岡崎久彦。日本の外務省OB の中でもっとも有名な論客ではないか。

イスラエルが西岸地区を占領して同胞を入植させているのを、かつて大日本帝国が条約により合法的に日本人街を作って住まわせたのと似ている。ユダヤ人の入植者は、パレスチナ人によるインティファーダという投石に悩まされている。これと同様に、かつての中国在留日本人たちは、中国人による投石・唾・不買運動の被害を受けた。

著者は二つの事例を冷静に比較している。イスラエルがインティファーダの報復として軍事力を行使したのと、大日本帝国が中国人による在留邦人の虐殺への報復として軍事力を行使した。どちらも目的は自国民の保護であり、その点に変わりはない。程度で言えば、中国人による日本の民間人の虐殺の方が大きく、特にレイプまであった。これはいわゆる「南京大虐殺」以前の話である。

ここで文章は、両者の類似点を挙げるのをやめ、相違点を考えることでこれからのパレスチナ情勢を分析する方向に変わる。

日本の場合、本国に海を超えて引き上げることができた。しかしイスラエルは、アラブ諸国に取り囲まれた陸続きの土地に戻るだけである。本土でも投石や自爆テロがある、と著者は指摘する。果たしてどうか。イスラエルの建国自体が侵略であるという論をとらなくても、引き上げるところまで引き上げれば自爆テロは収まると私は思うのだが、甘いだろうか。

日本と中国の場合だと、日本がアメリカに敗れたために、それ以上問題が泥沼化する前に問題が立ち消えた。大日本帝国は、敗戦前に中国に大攻勢を掛けて大勝利した。ちょうどシャロンが西岸地区の諸都市を制圧していったのに似ている。長期占領を考えた勝利ではなかった点もよく似ている。イスラエルの今後は、ちょうど歴史の if で大日本帝国のその後をシミュレートしてくれるかもしれない。

最後に著者は、パレスチナ問題を解決するにはアメリカ軍の 30年駐屯しかないのではないか、と消去法的ながらもそう結論づけている。たしかに現実的な選択肢としては唯一のものではないかと思わなくもない。しかし、アメリカは基本的にアラブ人とこれ以上関係悪化したくないだろう。これ以上アラブの民衆を刺激したら、アラブ諸国の王族たちの支配がくつがえり、石油の供給に差し障りが出る。あのイラクのときも、イスラエルではなくサウジアラビアに駐屯したのだから、いまさらイスラエルに師団規模の駐屯は考えられない。アメリカのユダヤ系選挙民への言い訳程度のことさえやっていればよいという程度ではないか。ともかく、著者のこの結論は安易で説明不足、とってつけたようなものとしか思えない。
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