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幻想水滸伝5
和洋折衷の独特のファンタジー世界に中国の古典・水滸伝のフォーマットを持ち込んでロールプレイングゲームに仕立てたコナミの人気シリーズ・幻想水滸伝の第五弾。今回の舞台は女系の女王が代々治めるファレナ女王国で、封建諸侯の有力一家が陰謀をめぐらせて王女に取り入り権力を得ようとするのを、王位継承権のない主人公の王子が仲間を集めて立ち向かっていく物語。

今回は序盤じっくり物語を語っている。舞台となる国の政治の仕組み、王家や大貴族の人々なんかが豊かに描かれる。素晴らしい。ここまで丁寧に物語を語ったゲームがあったかどうかすぐには思いつかない。しかしほぼ一本道でストーリーを追う展開に飽きがくる。

登場人物も豊かでいい。ややオタクっぽさもあるが一線は越えていないと思う。男キャラと女キャラ、子供っぽいのから成熟した者、力で勝負する者から頭で勝負する者、真面目とおふざけ、正統とイロモノ。ただ、今回の舞台が女王国なだけに、女性のリーダーたちの存在が目立つ。おばさんやおばあちゃんキャラにまで有力者がいて、地味ながら結構気を配っていることに感心した。

前作が小粒の作品だっただけに、改めてこのシリーズの素晴らしさを確認することになったのが今作だった。最初に主人公の王子が立ち上がるときは大した戦力もなく根拠地を間借りして寄生状態から始まるのだが、王子が人々の支持を得て優れた人々が集まってきて、地方の重要都市を勢力下に収めていく。その過程で敵の大貴族との局地戦に勝利を重ねる。寡兵を以って大軍を破る軍師の策略が気持ちいい。時々起こる一対一の決闘も登場人物同士の意志と意志のぶつかり合いにゾクゾクする。ベタでもやはり王道を行く物語は強い。

国が内戦状態にあるため隣接する外国からの干渉も招いてしまうので、その対策として外交に戦争に奔走するなど、よく考えられている。今作はシリーズ中もっとも政治色の濃い作品だ。本拠地の軍議の間に地方の有力者や将軍や官僚らの個性豊かな面々が立ち並ぶさまは、ゲームと分かっていても憧れてしまう。

しかしやはり不満がある。

まず今回はパーティでダンジョンを攻略する楽しみが欲求不満気味だ。攻略しがいのあるダンジョンは少ないし、かと思えばなんでもないはずの場所がやたら長くて準備不足の中で不本意に連続して戦闘を続けなければならなかったりする。

戦闘システムはこれまでのシリーズとなんら変わりはない。陣形を色々変えられるのだが、そんなに大した変化はないので使うものが限られてくる。一人一人のキャラにいちいち指示を出すのが面倒なのでオート戦闘ばかり選択してしまい、毎回似たようなパターンの展開になるので戦闘の楽しみが感じられない。紋章は色々あるのだがどれも使い勝手がいまいちなので通常攻撃がほとんどだ。

物語の全体的なプロットは素晴らしいのだが、最後の結論が安直すぎやしないだろうか。封建制がダメで専制がオッケーな理由がさっぱりだ。安直なら安直でいいのだが、説明が足りていないと思う。特にサイアリーズの意志と、中盤以降のゴドウィン一家の描写が薄い。どこかから物語を引用しているせいだろう。尻すぼみの結末はクリア後の盛り上がりに欠けている。

一つ一つのエピソードについては、リオンの過去とか、ゲオルグの真相とか、オボロ探偵事務所の面々とか、プロットとして見たら結構感動できそうなところなのに、脚本に落とすときに八割ぐらいのレベルになっていて、グッとくるのはくるのだけどちょっともったいないように思った。リソースが足りなかったのかもしれないが、もうちょっと力を注いでもいいところだと思う。

と文句を言いつつも、数ある大作ロールプレイングゲームのシリーズの中でこの幻想水滸伝は、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどと肩を並べていると思う。残念ながら前作はやはりいまいちだったと言わざるをえないが、総合的に見て非常に高いレベルにある。

ただ、私自身が歳を取ってしまい、ゲームの中での色んなことが面倒に思えてならなくなってしまった。色んな遊び要素を切り捨て、一つ一つの戦闘を楽しむ余裕もなく、一人一人のキャラに思い入れを抱くこともなく(まあそれはこのシリーズの構造的な欠点でもあるが)、ゲームを楽しむ人間として問題があるのを自覚している。ただ、それは私だけでなく世の中全体の流れでもあるように思うので、ゲーム製作会社はなにかしら対策を考えなければならないことだろう。
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